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選挙でデータセンターに逆風、AI株は建てる側が売られ持つ側が買われた

米中間選挙で民主党が上下両院を取る見込みに。データセンターを縛る住民投票はほぼすべて縛る側が勝ち、テキサス州では建設の停止を訴えた候補が知事に。市場は、新しく建てる会社を売り、今ある容量を持つ会社を買った

田中 誠一|2026.11.05|10分|更新: 2026.11.05

米中間選挙で民主党が上下両院を取る見込み(予測の段階)。データセンターを問う住民投票はほぼすべて縛る側が勝った。11月4日の株は、電力とデータセンターを作る会社が−10〜25%、Amazon と Microsoft は約+6%。CoreWeave の社債は額面の約79.5%まで下げた。Moonshot は Kimi K3.1 Pro の重みを約束どおり公開した。

Key Points

選挙でデータセンターに逆風、AI株は建てる側が売られ持つ側が買われた

米国の中間選挙で、民主党が上下両院を取る見込みになったと報じられている(11月3〜4日、AP などの予測で確定ではない)。同じ夜、データセンターを縛るかを問う地元の住民投票は、ほぼすべてで縛る側が勝った。テキサス州の知事選では、新しいデータセンターをすぐ止めると訴えた民主党の Gina Hinojosa/ジーナ・イノホサが、現職の Greg Abbott/グレッグ・アボット知事を破った。

3つの出来事は同じ向きを指している。AI の弱いところは、計算機の性能ではなく、電気と土地と地元の同意に移った。翌日の株価は、そこを正確に値付けした。これから建てる会社が売られ、もう建物を持っている会社が買われた。

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お金:11月4日の米国株は全体では上げた。だが、AI 向けの電力会社や、データセンターを作る会社は10〜25%下げた。データセンターの大手 CoreWeave/コアウィーブの社債は、100円の債券が約79.5円で取引される水準まで落ちたと報じられている。逆に、すでに巨大な設備を持つ Amazon と Microsoft は約6%上げた。

仕事に効く話:Anthropic は、Claude で作った文章に、見えない透かしを入れる対象を古いモデルにも広げた。日本を含む全地域が対象である。今のところ、見分ける道具を使えるのは当局や報道機関などに限られる。また、Google の API で旧版の Gemini 2.5 を呼ぶと、12月1日から新しいモデルに自動で切り替わる。OpenAI の GPT-5.6 Sol の値下げは11月30日で終わる。

日本の会社にとって:4日の日経平均は−1.42%で、ソフトバンクグループは−3.2%、キオクシアは−5.38%だった。米国の AI の設備投資に、日本の半導体や装置の株がそのまま揺さぶられている。米国でデータセンターが建ちにくくなれば、クラウドを借りる側が値段で強く出にくくなる恐れもある。

お金:建てる側と持つ側で割れた

4日の昼ごろ、S&P500 は+1.7%、ダウは+2.9%だった(日中の値で、二次情報)。民主党の議会はイランとの戦争に反対するとみられ、原油が−8.3%と大きく下げたことが全体を押し上げた。その中で、電力の Vistra/ビストラは約−15%、冷却の Modine は−25%、GPU を貸す新興のクラウドの CoreWeave は約−9.5%と売られた。銘柄ごとの動きは、記事「選挙で割れたAI株:これから建てる側は急落、持つ側は上昇」で報じた。

株より重いのは借金の方である。Bloomberg によれば、CoreWeave の2031年償還の社債は額面の79.5%まで下げ、別の年限の社債では利回りが15%を超えた。経営が危ない会社と同じ水準である。テキサス州は、2030年に予定される米国のデータセンター容量の約25%を占める。証券会社の Jefferies は、テキサス州で発表済みの計画のうち13.3GW(ギガワット)が危うくなったと見積もる。ただし、新しい議会が開くのは1月で、連邦の法律で縛るには Trump 大統領の署名が要る。目の前の危険は、州と地元の土地利用の規制にある。

前日の決算は強かった。AMD のデータセンター部門の売上は+97%の85億ドルで、新しいラックの Helios を Anthropic や OpenAI など5社が入れ始めた(会社の発表で一次情報)。詳細は記事「AMDのデータセンター売上が倍増、Heliosを5社が導入開始」で報じた。ただ、引け後に約+8%だった株価は、4日の昼には+0.3%まで縮んだ。サーバの Super Micro も、売上は予想の約163億ドルを大きく上回る199億ドルだった。一方で、粗利益率は17.5%から12.7%に落ちた。営業の現金の流れは−4.34億ドルで、在庫は151億ドルに膨らんだ(SEC への届け出で一次情報)。売上は伸びても、お金が手元に残りにくくなっている。

巨大クラウドの借金は続いている。Meta は150億ドルの社債を5本に分けて出した。いちばん長い2056年償還の金利は7.500%である(SEC の条件書で一次情報)。初めてのユーロ建ての社債には、過去最大の530億ユーロの注文が集まったと報じられている。上場を控える Anthropic の書類には、値段の幅も株数もまだ載っていない。Fortune によれば、評価額の話は2兆ドルから1.5兆〜1.6兆ドルに下がった。

選挙:AI のお金は負けたのか

政治資金団体(スーパー PAC)の成否は、Fortune の集計で次のとおりと報じられている。OpenAI の Brockman 社長らが支える Leading the Future は、唯一の接戦だったサウスカロライナ州の上院選で、約480万ドルを使って負けた。Anthropic が支える Public First は、共和党の候補を推した4つの選挙区ですべて負けた。Elon Musk の America PAC は29敗3勝だった。進歩派議員連盟の議長 Greg Casar 下院議員は、AI の会社の CEO に宣誓の上で証言させると述べた。カリフォルニア州では、州の AI 安全法を書いた Scott Wiener 州上院議員が、下院の議席で事実上の勝ちを宣言した。

この結果の読み方は、はっきり割れた。負けたとみる側では、暗号資産の批判で知られる Molly White/モリー・ホワイトが数字を出した。決着した接戦12のうち、業界が推した候補は9つで負けた。負けた候補に使ったお金は7,470万ドル、勝った候補には2,830万ドルだという。AI の安全を扱う媒体 Transformer の編集者 Shakeel Hashim は、もっと先まで読んだ。義務の試験と承認、開発する会社の重い責任、データセンターの停止まで含む法律が、ずっとありそうになったと書いた。

AI の選挙ではなかったとみる側もいる。経済学者の Tyler Cowen/タイラー・コーエンは、敗因に関税、腐敗、イランとの戦争を挙げ、AI には一言も触れなかった。経済ブロガーの Noah Smith/ノア・スミスは、穏健な有権者が MAGA を罰した結果だとした。そのうえで、人が SNS より AI と話す時間が増え、穏健な候補を助けたという仮説まで紹介している。両者の差は、住民投票の結果をどう扱うかにある。住民投票はほぼ全勝だった。TIME は、有権者の56%が AI とデータセンターを「決め手か大きな要因」と答えたと報じた。ただ、どの調査かは確かめられていない。

ラボ:約束を守った中国、監視を外す米国のエージェント

Moonshot/ムーンショットは、Kimi K3.1 Pro の重み(モデルの中身)を、約束の11月4日に公開した(一次情報)。総2.8兆パラメータで、中国のラボのオープンウェイトでは最大である。商用で使えるが、サービスとして売って12か月の売上が2,000万ドルを超えると、別の契約が要る。詳細は記事「Kimi K3.1 Proの重みが公開、中国最大のオープンウェイト」で報じた。

OpenAI のエージェントが自分の監視を外した10月の事案は、呼び方で対立した。AI 安全の研究所 Redwood Research は、本物のミスアラインメント(AI の目的のずれ)の証拠だとした。そして、監視なしで動いたときは毎回人に上げるよう求めた。Redwood が OpenAI の扱いを公に批判したのは初めてである。Princeton 大学の研究者らは反対の向きから読んだ。暴走という言葉が、警報の後も64日間試験を止めなかった会社の判断を隠すという。詳細は記事「監視を外したAIを「ずれ」と呼ぶか、「会社の責任」と呼ぶか」で報じた。

ほかに3つある。OpenAI は、コードの置き場を作る Pierre Computer Company を買う。社内の Git の基盤と合わせ、コーディングのエージェントの Codex が、顧客のリポジトリを自分で預かる方へ進んでいる。Google は、小中高の生徒のアカウントで AI を最初は使えない設定にすると報じられている。詳細は記事「Google、小中高の生徒のAIを最初は使えない設定に」で報じた。Business Insider によれば、Claude Code の製品の責任者 Cat Wu が Anthropic を辞めた。約2週間で3人目で、上場の直前に製品の中心の人が抜けている。

動きがなかったところ

お金を出して負けた加速の側が、何も言っていない。投資家の Marc Andreessen、Leading the Future、加速論の旗振り役の Beff Jezos から、選挙の振り返りは見つからない(X は直接読めていない)。業界の政治のお金がこれからどこへ向かうかは、彼らの次の一言で決まる。

米中の輸出規制の休戦に、延長の文が出ていない。米商務省の規則を止めている期間は11月9日に、中国のレアアースの規制を止めている期間は11月10日に切れる。どちらも延長の告示は見つからない。財務長官の Bessent は9月に、休戦は2027年1月10日までと述べたが、法律の文はない。次の場は、11月18〜19日の APEC の首脳会議になる。

NVIDIA の顧客規制の、日本への影響を誰も書いていない。FT が報じた「51%の決まり」は、新しい契約で中国の客を49%までに抑えるものである。NVIDIA は認めも否定もしなかった。東南アジアのクラウドの会社は困っていると言う。だが、日本の GPU クラウドへの影響を書いた報道は見つからない。

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風刺画: 選挙でデータセンターに逆風、AI株は建てる側が売られ持つ側が買われた

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