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巨大クラウド5社のCDS、2021年来の高さ 借金の不安が上位格付けへ

週末で大きな発表はなし。韓国の半導体輸出は+259%で需要はなお強い。安全の陣営では「単独で止まるな」をめぐり内部で論争

田中 誠一|2026.11.02|12分|更新: 2026.11.02

WSJは、巨大クラウド5社すべてでCDSの値段が2021年以来の高さになったと報じた。借金への不安は、ネオクラウドから格付けの高い会社にまで広がりはじめた。一方、韓国の半導体輸出は+259%だった。Scott Alexanderの「SURA批判」には、Kokotajloらが反論した。

Key Points

巨大クラウド5社のCDS、2021年来の高さ 借金の不安が上位格付けへ

【追記 2026年11月2日 5:55】次のように直しました。①社内の言葉「窓内に」が2か所そのまま出ていたので、ふつうの言い方に直しました。②Addy Osmani の説明を「利用規約に反する」と書いていましたが、本人が書いたのは「利用ポリシー」だったので直し、肩書きを足しました。

週末で、フロンティアのラボからはモデルの発表もブログの更新もなかった。いちばん重いのは信用の話である。Amazon/アマゾン、Alphabet/アルファベット、Microsoft/マイクロソフト、Meta/メタ、Oracle/オラクルの5社すべてで、債務不履行に備える保険(CDS)の値段が2021年以来の高さになったと、WSJ/ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた(11月1日、二次情報)。10月30日には、S&Pが Meta の見通しを引き下げ、ネオクラウドが社債を出せないことも伝えられていた。AIの設備投資を借金でまかなうことへの不安は、格付けの低いネオクラウドから、格付けの高い巨大クラウドへと広がってきた。一方、同じ日に出た韓国の10月の半導体の輸出は+259%だった。お金を出す側の不安と、物の需要の強さが食い違っている。この食い違いが、今週の決算と11月3日の中間選挙で試される。

産業・投資・半導体:信用の不安が上の層へ

CDSの数字は、データ会社の Solve によると報じられている。Oracle は1か月で1ポイント超広がったという。ただ、会社ごとの水準は分からず、WSJの元の記事も読めていない。ネオクラウドについては、CoreWeave/コアウィーブの担保のない社債の利回りが15%を超えたと伝えられている。詳細は巨大クラウド5社の CDS、2021年以来の高さと WSJ 報道で報じた。Moody's/ムーディーズと Fitch/フィッチは、まだ Meta について何もしていない。S&Pに続くかどうかが次の焦点になる。

需要の数字は逆を向いている。産業通商資源部の数字を新華社が伝えたところでは、韓国の10月の輸出は1,152.8億ドル(+93.7%)で、1974年以来の伸びだった。半導体は564.4億ドル(+259.4%)である。詳細は韓国10月の輸出+93.7%、半導体は3.6倍で報じた。Nikkei Asia/日経アジアは、SK hynix、Samsung、キオクシアのメモリ3社の営業利益が、初めて米国の巨大テックを上回ったと報じた(10月31日)。Altman/アルトマンはソウルで、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長とも会った。HBMとデータセンターについて話したと報じられているが、Samsungとの会談と同じく、新しい取引の発表はなかった。

電気料金も選挙の争点になった。米国の家庭の電気料金は2024年から10%超上がったと Reuters/ロイターが伝え、9つの州で公益事業委員会の選挙がある。データセンターをどこに建て、費用を誰が持つかが、投票で決まりはじめている。詳細は電気料金とデータセンター、中間選挙の争点にで報じた。

個別記事のない材料も二つある。一つは Binance/バイナンスである。10月29日に約63億ドルが盗まれ、11月1日06:00 UTCから、BTCを先頭に引き出しを少しずつ再開したと CoinDesk などが報じた。FBIは、北朝鮮の TraderTraitor の仕業とみている。盗まれた分の約95%は会社のお金で埋めたというが、最初の約10時間で、差し引き約36億〜38億ドルが出ていったと伝えられている。月曜の寄り付きで、投資家がリスクを避ける材料がもう一つ増えた。もう一つは中国の公式の製造業PMIで、49.3と7月以来の低さだった(予想は約50.0)。ただし、ハイテクの製造業は51.3で、まだ伸びている。

資金の面では、評価額が下がる例が続いた。人型ロボットの Agility Robotics/アジリティ・ロボティクスは、SPACで集めるお金を約6.2億ドルから約4.65億ドルに減らした(10月30日の8-K、一次情報)。OpenAIの新しい調達の目標も、約200億ドルに下がったと報じられている。逆向きの例は Lumaril/ルマリルで、評価額4億ドルで6,600万ドルを集めたと報じられている(WSJを引く二次情報)。工場の生産が増えた分だけ代金を受け取る売り方で、成果に応じて払うAIの値付けとして目を引く。今週は Apple と Palantir(11月2日)、AMD(3日)、Arm と Qualcomm(4日)の決算、雇用統計(6日)が続き、株の売りが止まるかどうかを決める。

AI研究・開発:規約をプロンプトに書く

Anthropic/アンソロピックは、Opus 5.5 で動く Claude Code のシステムプロンプトに、特定の既存のゲームを作り直させない2文を足したと報じられている。同社の技術スタッフの Addy Osmani/アディ・オスマニは X で2文を足したことを認め、Claude で IP を侵すことは利用ポリシーに反するからだと説明した。止める設定はなく、リバースエンジニアリングまで断られるという不満も出ている。詳細はClaude Code、既存ゲームの作り直しを断る2文を追加と報道で報じた。

xAI/エックスエーアイは、11月7日から Grok の APIの文章に、目に見えない透かしを最初から入れる(文書のページは一次情報)。ツール呼び出しの引数まで対象にし、理由に EU の AI Act 第50条を挙げた。xAIは文章の透かしへの反対をやめたことになる。報道は、北米の大手で文章に透かしを入れていないのは ChatGPT だけになるとしている。詳細はGrok API、11月7日から文章に透かしで報じた。Musk/マスクは X に、年末までに Colossus 2 の Blackwell が約120万枚になると書いたと伝えられている。ただ、建物ごとの数を足しても約86万枚にしかならず、約34万枚は内訳が分からない。

前回までの論点も、いくつか進んだ。DeepSeek/ディープシークは、先回りして働くコーディングのエージェントのコードを GitHub に出した(一次情報、MITライセンス)。設計の記事に、動くコードが付いたことになる。ただ、蒸留をめぐる報道には答えていない。OpenAI の Codex の28日間のスプリントは11月1日で終わった。予告された、ためておけるリセットは配られたが、締めくくりの投稿は見つからず、追跡ページどうしで記録も合わない。ChatGPT の共有リンクの欠陥では、悪意のあるリンクを開くと、ほかの非公開のチャットまで読めたと、セキュリティ会社の Parameter が公表したと報じられている(10月26日までに修正済み)。エージェンティックコマースでは、xAI の Grok Bot が Link を通じて買い物ができるようになったと伝えられている。

思想・議論:安全の陣営の内側で割れる

Scott Alexander は LessWrong に『Against SURA』を出した(10月31日、一次情報)。SURA は『単独で止まり、危険を知らせる』の略である。安全を重んじる会社だけが単独で開発をやめても、世界で一斉に止まる『プランA』にはほとんど近づかない。かえって、安全を重んじない会社が先頭に立つ、と論じた。名指しした相手は、Vox の『Anthropic Could Just Stop』と、超知能を禁じる法案である。反対の側では、Daniel Kokotajlo/ダニエル・ココタイロが、米国の会社が1社でも止まれば、高くつく合図になって世の議論を変えると反論した。TsviBT は、二者択一そのものが偽りだと書いた。先頭にいながら最先端のモデルを出さない道もある、という。Tom Davidson は、両者の案はほとんど同じだとみた。10月30日に Geoffrey Irving が『いますぐ止めるべきだ』と書いたのに続き、論争は安全の陣営の内側で起きている。詳細は「単独で止まるな」Scott Alexander に安全の陣営から反論で報じた。

davidad/ダヴィダッドの『アラインメントは易しい』には、コメントと短い投稿の反論が出ただけで、まとまった論考はまだない。Gabriel Alfour は、RLHFで作った人格を受け入れるのは『おぞましい』と書いた。David Africa の『Misalignment traps lie in wait』は、名前を出さずに、ミスアラインメントは目の前のありふれた脅威だと答えた。davidad は、公には答えていない。

教皇庁のAIの会をめぐっては、倫理批判の側と存亡のリスクの側がそれぞれ書いた。ただし、互いに直接は答えていない。倫理批判の側の Emily Bender/エミリー・ベンダーは、『思いやり』をシステムのふるまいの中に置くのはカテゴリーの誤りだと書いた。存亡のリスクの側の Gary Marcus/ゲーリー・マーカスは、いまのエージェントを『ガソリンタンクが爆発するフォード・ピント』にたとえ、直すまで市場から引けと書いた。Google DeepMind の TurnTrout(Alex Turner/アレックス・ターナー)は、インドの高官に向けた講演の原稿を出した。この10年でAIが人の95%以上を殺す見込みを『3分の1』とし、計算資源を核分裂物質のように扱うよう求めた。Zucman と Saez の研究をAIに監査させた件は、11月3日にカリフォルニア州の提案40号の投票を控える。監査のプロンプトとコードは今も出ていない。

防衛・政策:米連邦は休み、中国は烏鎮へ

中国の国家インターネット情報弁公室(CAC)は、論評を出した(一次情報)。11月2〜5日の世界インターネット大会の烏鎮サミットを、『オープンソース、開かれた協力』を主題に開くという。AIの世界の統治の構想をくり返しただけで、新しく人を縛る措置はない。11月18〜19日の深圳のAPECの前に、中国は発信を重ねる形になる。米国では、Microsoft が教員の組合と結んだ学校のAIの基準が、11月1日から効力を持った。生徒のデータで学習することと、コンパニオンの機能を禁じる。州法ではなく契約による規制だが、働きは州法に近い。Google が国防総省のミサイル防衛『Golden Dome』のデータを守るグループに加わる交渉をしていると、Bloomberg が報じた(10月30日)。2018年の Project Maven の経緯を考えると、Google にとって重い一歩になる。whitehouse.gov の新しい大統領の措置は、10月28日の後はない。議会は休会中である。

動きがなかったところ

沈黙それ自体が情報になる。巨大クラウドの信用の不安に、会社自身は何も出していない。Anthropic の S-1/A も価格の幅もまだで、早くて11月10日ごろとみられる。加速の側(Andreessen、Sacks、Dean Ball)も『普通の技術』の側(Narayanan と Kapoor)も、株の売りと OpenAI の調達の縮小に答えていない。バブルを論じる Ed Zitron も、新しい論考は出さず、10月20日の論考を指しただけだった。AIの福祉の側(Sebo、Long、Birch)は、教皇の『AIは人ではない』に答えていない。Robert Long は10月31日に2本を出したが、触れていない。Saez も監査に答えていない。Zvi Mowshowitz は、前回の要点の後、AIの投稿を出していない。Jack Clark の Import AI は、11月2日に出る見込みである。Kimi K3.1 Pro の重みはまだなく、11月4日までに出ると伝えられている。Gemini 4 Carbon のモデルカードと Frontier Safety Framework の報告もない。Mistral Large 4 のサイバーの点数の食い違いも、解けていない。週末で、米国の市場も国防総省の契約の発表も止まっていた。本当の答えは、月曜の寄り付きからの1週間に出る。

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