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AMDのデータセンター売上が倍増、Heliosを5社が導入開始

売上の64%がデータセンターに。MI450のラックをAnthropic、Meta、Microsoft、OpenAI、Oracleが入れ始めた。それでも引け後の約8%高は、選挙を受けたAI株の売りで翌日の昼までに消えた

田中 誠一|2026.11.05|6分|更新: 2026.11.05

AMDの7〜9月期は、データセンターの売上が1年で約2倍の85億ドルになり、全体の64%を占めた。新しいAI半導体MI450を積んだラックHeliosを、Anthropic、Meta、Microsoft、OpenAI、Oracleが入れ始めた。株価は引け後に約8%上げたが、中間選挙を受けたAI株の売りで翌日の昼までに上げを失った。

Key Points

AMDのデータセンター売上が倍増、Heliosを5社が導入開始

米国の半導体大手 AMD が11月3日(米国時間)の取引終了後に、2026年7〜9月期の決算を出した。データセンター向けの売上は1年前の約2倍の85億ドルになり、売上全体の64%を占めた。次の世代の AI 半導体 MI450 を積んだラック『Helios』を、Anthropic、Meta、Microsoft、OpenAI、Oracle の5社が入れ始めたことも明らかにした。中身は強い決算である。ところが、引け後の取引で約8%上げた株価は、中間選挙の結果を受けた AI 関連株の売りに押され、翌4日の昼までに上げをほぼ失ったと CNBC は伝えている。

日本の会社にとって:AMD の製品を直接買う日本の会社は少なく、すぐに影響が出るわけではない。ただ、Microsoft の Azure や Oracle のクラウドで AI を使っている会社には、関係が出てくる。クラウドの会社が NVIDIA 以外からも AI の計算資源を買えるようになれば、AI の利用料や、使える量の取り合いが少し和らぐかもしれない。米国の半導体株を持っている会社や個人にとっては、決算がよくても株価がついてこない、という例になった。

売上の3分の2がデータセンターに

決算の数字は、AMD が自社のサイトと米証券取引委員会(SEC)に出した書類によるもので、一次情報である。

柱はデータセンター部門で、売上は85億ドルと1年で約2倍になった。売上全体に占める割合は64%で、ほぼ3分の2にあたる。単純に割り戻すと、売上全体は130億ドル強になる計算だ。AMD はもともと、パソコンやゲーム機の半導体で知られた会社だった。いまは、AI のデータセンター向けのチップとサーバーの半導体が、売上の大半を占めている。

データセンター部門には、AI の計算に使う GPU(大量の計算を並べて速く処理する半導体)と、サーバー用の CPU が入っている。AI の学習と、学習したモデルを動かす推論の需要が、ここに集まった形である。

Helios を入れ始めた5社

今回の決算でもう1つ大きかったのは、Helios が実際に客先に入り始めたことだ。Helios は、AMD の新しい AI 半導体 MI450 を何十個もまとめ、1つのラック(サーバーを収める棚)を丸ごと1台の大きな計算機として売る製品である。NVIDIA がラック単位で売るシステムに、正面から当てる製品になる。AMD はこれまで、チップ単体では NVIDIA と比べられても、ラック全体を組んだ製品では後れを取っていた。

入れ始めたのは次の5社だと、AMD は書いた。

・Anthropic(Claude を作る AI の会社)
・Meta
・Microsoft
・OpenAI
・Oracle

顔ぶれには意味がある。Microsoft は、推論に使う自社のチップ Maia 300 を10月に発表し、2027年からギガワット規模で並べると書いていた。Anthropic は、Alphabet の10月28日の決算説明会で、Google の AI 半導体 TPU の大口の顧客として名前を挙げられていた。自前のチップや別の会社のチップを持っている買い手が、それでも AMD のラックを入れている。AI の計算資源は今も足りず、どの会社も、1社の売り手だけに頼りたくないのである。

Anthropic について言えば、11月中の上場に向けた書類で、計算資源の購入の約束が巨額になっていると指摘されてきた(約8,954億ドルという数字が議論されている)。AMD のラックは、その約束を受け止める先の1つになる。

引け後の8%高は、翌日の昼に消えた

決算が出た直後、AMD の株価は引け後の取引で約8%上げた。しかし翌11月4日、米国の中間選挙の結果を受けて AI 関連の株がまとめて売られ、AMD も昼までに上げをほぼ失ったと CNBC は伝えた。株価の動きは CNBC の報道によるもので、売りの理由も報道の見立てである。

ここから分かるのは、いまの AI の株が、1社の決算の中身よりも、政治と相場全体の空気で動いていることだ。中間選挙では、データセンターの電気代や建設をめぐる州の住民投票、公益事業の委員会の選挙なども争われていた。AI のデータセンターをこの先どれだけ建てられるかが、政治の結果に左右されるという見方が、投資家の頭の中で大きくなっている。売上が2倍になった会社でも、その空気には逆らえなかった。

これから見るところ

1つ目は、Helios が売上にどれだけ乗るかである。今回は5社が「入れ始めた」段階で、量が積み上がるのはこれからになる。2つ目は、5社の後に続く買い手が出るかだ。3つ目は、選挙の結果がデータセンターの建設や電気の規制にどう効くかである。データセンターをめぐる住民投票や州の選挙の結果は、まだ出そろっていない。AMD の数字が強くても、建てる場所と電気が確保できなければ、ラックは置けない。

出典:AMD の決算の発表、SEC に出した書類、CNBC

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