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選挙で割れたAI株:これから建てる側は急落、持つ側は上昇

電力、ネオクラウド、工事、冷却は売られ、Amazon、Microsoft、Alphabet は買われたと報じられている。CoreWeave の社債は利回り15%超で、経営が危ない会社の水準になったという

山本 浩二|2026.11.05|5分|更新: 2026.11.05

米中間選挙の翌日の11月4日、市場は AI の銘柄を2つに分けたと報じられている。データセンターをこれから建てる側(電力、ネオクラウド、工事、冷却)は大きく下げ、今ある容量を持つ Amazon、Microsoft、Alphabet は上げた。CoreWeave の社債は利回りが15%を超え、経営が危ない会社の水準まで売られたという。

Key Points

選挙で割れたAI株:これから建てる側は急落、持つ側は上昇

米国の中間選挙の翌日の11月4日、株式市場は AI にかかわる銘柄を2つに分けたと報じられている。データセンターをこれから建てる側、つまり電気を売る会社、GPU を貸すことに特化した新しいクラウドの会社(ネオクラウド)、建設の工事、冷却の設備の会社は大きく下げた。一方で、すでに大きな容量を持つ側の Amazon、Microsoft、Alphabet は上げた。Bloomberg によれば、ネオクラウド大手の CoreWeave の社債は最安値を更新し、利回りは15%を超えた。経営が危ない会社の社債と同じ水準である。

日本の会社にとって:米国のデータセンター向けに、電線、変圧器などの電気の設備、空調や冷却の部材、建設の資材を売っている会社は、受注の見通しを見直す材料になる。クラウドを使う側から見ると、新しい容量が建ちにくくなれば、AI の計算の値段はすぐには下がりにくい。来年の予算を組むときは、そう見ておいたほうがよい。

何が起きたと報じられているか

Yahoo Finance や Stocktitan のその日の市況、マレーシアの The Star に載った記事は、選挙で民主党が大勝した後、AI のデータセンターの銘柄が下げ、再生可能エネルギーの銘柄が上げたと伝えている。Yahoo Finance は別の記事で、電力の会社の Vistra と Constellation が、選挙を受けて下げたと報じた。どちらも、データセンターに電気を売る期待で買われてきた会社である。

下げたのは、データセンターをこれから建てて稼ぐ会社だった。電気、土地と許可、工事、冷却を引き受ける会社と、借りたお金で GPU を買って貸すネオクラウドである。上げたのは、データセンターをすでに持ち、手元の現金で投資できる巨大クラウドの3社だった。なお、銘柄ごとの下げ幅と上げ幅は、この記事では確かめきれていない。

なぜ建てる側が売られたのか

報道が理由に挙げるのは、選挙の後の政策の向きである。Fast Company は、米国の AI ブームに電気を送ろうとしてきたテキサス州で、新しい知事がそのやり方を大きく変えうると伝えた。Bloomberg は、テキサス州のデータセンターが狙われていると書いた。テキサス州は、ネオクラウドや電力の会社が大きな計画を集めてきた場所である。

市場の読みは、次のようなものとみられる。データセンターが電気を食うことへの住民の反発が、選挙で政治の力になった。そうなれば、新しい建設の許可や送電網への接続が遅れ、電気の網を広げる費用をデータセンターに負わせる動きも強まりうる。そのしわ寄せは、まだ建っていない計画に集まる。再生可能エネルギーの銘柄が上げたことからも、市場が売ったのは AI そのものではなく、これまでの建て方だったと読める。

CoreWeave の社債が映すもの

建てる側の苦しさがいちばんはっきり出たのが、CoreWeave の社債である。社債の利回りは、値段が下がるほど上がる。一般に、利回りが10%を大きく超える社債は、市場が返済に強い不安を持っているしるしとされる。報道が伝える15%超という水準は、事業が伸びている会社ではなく、経営が危ない会社の水準である。CoreWeave の社債は、選挙の前から額面の約8割で売り買いされていると伝えられていた。そこから、さらに売られたことになる。

ネオクラウドは、借りたお金で GPU とデータセンターを先に用意し、AI のラボなどとの長い契約で返していく商売である。建設が遅れれば、売上が入る時期が後ろにずれる。そのあいだも利息は払い続けなければならない。株より先に社債が売られるのは、この時期のずれを、お金を貸している側が気にしているからとみられる。

持つ側が上げた理由

同じ理由が、Amazon、Microsoft、Alphabet には追い風になる。新しい容量が建ちにくくなれば、今ある容量が足りなくなり、値打ちが上がる。3社はすでに大きなデータセンターを持ち、送電網への接続の権利も持っている。借金に頼らずに投資を続けられる現金もある。AI のラボがネオクラウドに頼りにくくなれば、仕事は3社に戻ってくる、という読みも成り立つ。

つまり市場は、AI の需要を疑ったのではない。誰がその需要を受け止められるかを選び直した。今ある容量を持つ側が勝ち、これから借りたお金で建てる側が負ける、という形である。

これから見るところ

最初の試金石は、11月10日の CoreWeave の決算である。借金の返済の予定と、テキサス州の計画が遅れるのかを、どう説明するかが注目される。同業の Nebius も同じ時期に決算を出す。11月の後半に上場するとみられる Anthropic は、上場の書類で、計算資源の購入の約束を8,954億ドルと書いたと伝えられている。その資源の多くは、これから建てられる容量である。建てる側が苦しくなれば、AI のラボがどこから計算資源を集めるかにも響く。選挙の後の議会と新しい知事が実際に何を決めるかで、この日の値動きが正しかったかどうかが分かる。

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