米国の家庭の電気料金は、2024年から10%を超えて上がった。11月3日の中間選挙では、その料金を認める公益事業委員会の委員と、委員を任命することの多い知事を選ぶことを通じて、データセンターをどこに建て、そのための発電所や送電網の費用を誰が持つかが直接問われると、Reuters が伝えた(パキスタンの Dawn が転載した配信による)。公益事業委員の選挙は9つの州で行われると報じられている。
この記事は報道をもとにしており、電力会社の料金の届け出や州の委員会の文書といった一次情報は確かめていない。
ふだん目立たない選挙が注目される
配信の見出しは、電気料金とデータセンターが、中間選挙で公益事業に「珍しく光を当てた」というものだ。料金を決める委員会の選挙は、ふだんはほとんど注目されない。報道によれば、今年は料金の値上がりが家計に効いてきたことで、有権者の関心が向いているという。
配信が結びつけているのは、AI の計算資源を置くデータセンターの電力需要である。大きなデータセンターを電力網につなぐには、発電所や送電線を新しく作る必要がある。その費用を電力会社の料金にどう割り振るかを認めるのは、州の公益事業委員会だ。費用を家庭を含む利用者全体で持つのか、データセンターを持つ会社に負わせるのかが、委員会の判断で変わる。
委員と知事が握るもの
Reuters の配信は、11月3日の投票が2つの経路でデータセンターにかかわると伝えている。
1つは、9州の公益事業委員の選挙である。委員は料金の値上げを認め、データセンター向けの特別な料金の枠組みや、新しい発電所の建設の申請を審査する。
もう1つは知事選である。多くの州で知事は委員会の委員を任命し、立地の規則や優遇税制にもかかわる。知事選の結果は、委員会の顔ぶれと州のデータセンター誘致の方針の両方を左右しうる。
どの州でどの候補がどんな立場をとっているかの細部は、今回は確かめられていない。
地元では一時停止の動き
州よりも小さな単位でも動きがある。フロリダ州デードシティでは、データセンターの建設を一時止める条例案が前に進んだと、地元紙の Hernando Sun が10月31日に伝えた。採決の票数や、一時停止の期間、次の審議の日付は確かめられていない。
市の段階で立地を止める動きと、州の段階で費用の分担を決める委員会の選挙は、同じ問いの両端にある。データセンターを受け入れるかどうかと、受け入れたときの電気代を誰が払うかである。
計算資源の増設と家計がぶつかる
背景には、AI の計算資源の急な増設がある。Epoch AI は10月29日、AI の計算資源の四半期ごとの増設が2024年から年約2.5倍で増え、H100 換算で2024年1〜3月期の80万から2026年4〜6月期の630万になったとした(一次情報)。伸びは鈍る兆しがあるとも書いている。
ラボとハイパースケーラーはデータセンターの建設を競い、その電力は地域の電力網から引かれる。報道のとおりなら、11月3日は、その費用を負う側の有権者が、料金を決める人を直接選ぶ機会になる。
選挙の後に見るべきこと
結果が出た後に見るべき点は3つある。
1つ目は、9州の公益事業委員の選挙で、料金の値上がりを争点にした候補がどれだけ勝つか。2つ目は、勝った知事や委員が、データセンターに費用を多く負わせる料金の枠組みに動くか。3つ目は、デードシティのような地元の一時停止が、ほかの自治体に広がるかである。
あわせて、AI の業界が資金を出すスーパー PAC が、11月3日の結果を通じて州の AI の規制にどこまで影響を持つかも、同じ日に試される。




