Samsung Electronics が10月8日に7〜9月期の暫定の決算を発表した。営業利益は107兆ウォンを超えた(Seoul Economic Daily)。四半期で100兆ウォンを超えたのは、同社として初めてである。報道によれば、この額は NVIDIA がこれまでに出した四半期の最高益も上回る。AI の時代に最も稼ぐ半導体企業といえば GPU の NVIDIA だったが、この四半期だけはメモリの Samsung がそれを抜いた。
それでも株価は下げた。Investing.com は、利益は過去最高だったが『高すぎる期待』には届かなかったと報じ、CNBC も発表後に株価が下がったと伝えている。過去最高の決算でも、期待を満たすには足りなかったことになる。
発表されたのは営業利益だけ
暫定の決算で Samsung が出すのは、売上と営業利益の大まかな数字だけである。メモリ、スマートフォン、ディスプレイなど事業ごとの内訳は、月末の確定の決算まで出ない。HBM(AI の加速器に積む広帯域メモリ)がどれだけ稼いだのか、汎用の DRAM と NAND の値上がりがどれだけ効いたのかは、会社の数字ではまだ分からない。
ただし、四半期の利益が100兆ウォンを超えるほど伸びた理由は、メモリのほかに考えにくい。この1年、AI のデータセンターは GPU と一緒に HBM を大量に買い、HBM に生産能力を取られた汎用の DRAM も値上がりしてきた。今回の107兆ウォンは、その値上がりが Samsung の損益に表れた数字である。
NVIDIA を抜いたことの意味
NVIDIA を上回ったという比べ方は、AI インフラで利益がどこに集まっているかを示す。計算の主役は今も GPU だが、GPU は HBM がなければ動かない。HBM を作れるのは事実上 SK hynix、Samsung、Micron の3社だけで、需要が供給を上回る限り、値段はメモリを作る側が決められる。この四半期は、その交渉力が NVIDIA の利益と並ぶ規模になった。
ここで気をつけたいのは、比べているものが同じではないことだ。Samsung の利益にはスマートフォンや家電なども含まれ、NVIDIA はほぼ AI の計算の事業だけである。会社全体で見て、メモリの稼ぎが AI の主役の利益の水準に届いた、と読むのが正確である。
なぜ最高益で株価が下がったのか
株価が下がったのは、利益が少なかったからではない。市場の見込みがもっと高かったからである。決算の前に、株価はメモリの値上がりが続くことをすでに織り込んでいた。100兆ウォンを超える利益は『あって当然』の数字になっており、それを上回らなければ買う理由にならなかった。報道は市場がどこまで見込んでいたかの具体的な数字に触れているが、ここでは確認できた見出しの範囲にとどめる。期待に『届かなかった』という事実だけで、構図ははっきりしている。
メモリはもともと値段の上下が激しい商品で、値上がりが続けば各社が増産し、やがて値が崩れる、という波を繰り返してきた。投資家が見ているのは今期の利益ではなく、この値上がりがいつまで続くかである。最高益を出しても株価が上がらないのは、市場がすでに値上がりの終わりを気にし始めている兆しとも読める。
AI インフラの期待はどこまで膨らんでいるか
今回の決算が示すのは、AI への支出の流れがメモリの側にまで太く届いているということと、その流れへの期待が、現実の数字より先に進んでいるということの両方である。AI の設備投資は借金で賄う部分が増え、長期金利も高い。期待が先に進んでいる市場では、良い数字が出ても『期待どおり』にしかならず、少しでも足りなければ売られる。
事業ごとの内訳は、月末の確定の決算で出る。そこで HBM と汎用メモリの値上がりがどこまで続くと会社が見ているかが、今回の株価の下げが一時のものか、期待の天井を示すものかを決める材料になる。同じ日に TSMC も9月の売上を出しており、10月15日の TSMC の決算とあわせて、AI 向け半導体の期待と現実の差がどこまで開いているかを測る1週間になる。




