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AWSは39%増、Amazonの現金は424億ドル流出

7〜9月期の10-Qによれば、Anthropic への出資の評価益は1,403億ドル、まだ始まっていないリースは1,649億ドル、新しい借入は約475億ドル。紙の上の利益と、借金と、簿外の約束が一緒に膨らんでいる

田中 誠一|2026.10.31|5分|更新: 2026.10.31

Amazon の7〜9月期は、AWS の売上が+39%と約5年で最も速く伸びた。一方で設備の購入は772.6億ドルと予想を大きく超え、過去12か月のフリーキャッシュフローは−424億ドルになった。10-Q によれば、Anthropic の転換社債の評価益は1,403億ドル、まだ始まっていないリースは1,649億ドル、期中の新しい借入は約475億ドルある。

Key Points

AWSは39%増、Amazonの現金は424億ドル流出

Amazon が10月29日の引け後に出した7〜9月期の決算は、2つの面を同時に見せた。決算の発表によれば、クラウドの AWS の売上は前年同期比で39%増え、約5年で最も速い伸びになった。一方で、同じ四半期に設備の購入に772.6億ドルを使った。市場の予想を大きく上回る額で、過去12か月のフリーキャッシュフローは−424億ドルになった。

同じ日に出た四半期報告書(10-Q)には、さらに3つの数字が載っている。Anthropic の転換社債の評価益が1,403億ドル。まだ始まっていないリースが1,649億ドル。7〜9月期の新しい借入が約475億ドル。AI のラボへの出資で出た紙の上の利益と、借金と、簿外の約束が、同時に膨らんでいる。

AWS は約5年で最も速く伸びた

AWS の+39%は、AI の計算の需要が実際の売上になったことを示す。生成 AI の波が始まってから、AWS は Microsoft の Azure や Google Cloud より伸びが遅いと言われ続けてきた。今回の伸びで、その見方は弱まる。

TechCrunch によれば、Andy Jassy CEO は、AWS はいずれ1兆ドルの事業になると述べた。ただし同じ記事の見出しのとおり、そこに至るにはまず大きな支出が要る、という含みがついている。売上の伸びと支出の伸びは、同じ一つの賭けの両面になっている。

設備に772.6億ドル、現金は424億ドル出ていった

1四半期で772.6億ドルという設備の購入は、データセンター、AI 向けの半導体、電力の設備を、売上より先に積み上げていることを意味する。その結果、営業で稼ぐ現金では設備の支出をまかなえず、過去12か月のフリーキャッシュフローは−424億ドルになった。

伸びている事業が先に投資するのは珍しくない。だが、ここまでの規模で現金が出ていくなら、足りない分をどこかから持ってくる必要がある。その答えが、10-Q の残りの数字に出ている。

10-Q に並ぶ3つの数字

Anthropic の転換社債の評価益:1,403億ドル

Amazon は Anthropic に転換社債の形で出資している。Anthropic の評価額が上がると、この社債の公正価値も上がり、Amazon は評価益を計上する。10-Q に記された評価益は1,403億ドルにのぼる。

これは現金ではない。社債を売るか、株式に転換して売るまでは、紙の上の利益にとどまる。Anthropic は10月26日に上場の書類(S-1)を出しており、価格の幅と株数を書いた修正版(S-1/A)は11月10日ごろとみられる。上場の値段が、この1,403億ドルがどこまで現金に近いかを決める。

まだ始まっていないリース:1,649億ドル

契約は結んだが、まだ使い始めていないリースが1,649億ドルある。会計の決まりでは、リースが始まるまでは貸借対照表に資産も負債も載らない。データセンターの建物や設備が引き渡されるたびに、この約束が少しずつ負債として表に出てくる。設備の購入772.6億ドルとは別に、すでにこれだけの支払いが先に約束されている。

7〜9月期の新しい借入:約475億ドル

四半期で約475億ドルを新たに借りた。フリーキャッシュフローの赤字を埋め、設備の購入を続けるための資金とみられる。Amazon は長く、借金に頼らず自分の現金で投資してきた会社だった。その姿が、この四半期で変わった。

3つが一緒に膨らむ意味

3つの数字は、別々の話ではない。Amazon は AI のラボである Anthropic に出資し、その評価が上がって利益が出る。Anthropic は計算を必要とし、AWS はそのためのデータセンターを建て、借りる。その建設と賃借のために、Amazon は借金を増やし、まだ始まっていないリースを積み上げる。

この輪が回っているあいだは、AWS の売上も、出資の評価益も伸びる。だが、出資の利益は紙の上のもので、借金とリースの支払いは現金で出ていく。AI の需要か、AI のラボの評価額のどちらかが崩れると、利益は消えても、支払いの約束は残る。今期の決算は、AWS の伸びが本物であることと、その伸びが、まだ現金になっていない価値と将来の支払いの約束の上に立っていることを、同時に示した。

次に見るところ

まず、Anthropic の S-1/A の価格の幅である。上場の値段が、1,403億ドルの評価益の裏づけになる。次に、10〜12月期の設備の購入とフリーキャッシュフローが、どこまで悪くなるか。さらに、まだ始まっていないリース1,649億ドルのうち、どれだけが来年に始まって負債として表に出るか。最後に、ほかのクラウドの会社の決算である。11月9日の CoreWeave と11月10日の Nebius の数字で、AI の計算の需要が Amazon だけのものでないかを確かめられる。

風刺画: AWSは39%増、Amazonの現金は424億ドル流出

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