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日本VC投資、2025年58億ドルで過去最高——AIは世界の61%集中も日本はQ3で13億ドルと中国に大差、CVCマネーは米欧へ流出

Japanet向けファンドが2億ドル、Aisin向けファンドが1億ドルへ拡大する一方、Pegasus創業者は「投資の7割は米欧スタートアップ」と証言

山本 浩二|2026.08.22|7|更新: 2026.08.22

日本VC投資は2025年通年58億ドルで過去最高を更新。世界のVC投資はAIが61%・2587億ドルを占めるが、日本はQ3だけで13億ドルと中国84億ドルに大差。PegasusはJapanet向けファンドを2億ドル、Aisin向けファンドを1億ドルへ拡大したが、投資先の7割は米欧スタートアップにとどまる。

Key Points

Business Impact

国内AI投資が過去最高を更新しても資金の実質的な行き先は米欧AI企業であるため、経営者は自社のCVC・出資戦略において「国内投資額の伸び」だけでなく「投資先の地理的配分」を精査し、日本発ディープテックへの直接出資や大学系ファンドとの連携を検討する価値がある。

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日本のベンチャーキャピタル(VC)投資は記録更新が続いている。KPMGジャパンが発表した「Venture Pulse Q4 2025」日本語抄訳版によると、2025年第4四半期の国内VC投資は320件・約19億ドルに達し、通年でも58億ドル超と、これまで最高だった2021年の実績を塗り替えた。大企業がベンチャー由来のイノベーションに目を向け、スタートアップとの資本業務提携が増えたことが押し上げ要因とされる。一見すると好調に見える数字だが、世界的なAI投資の規模と比較すると、日本の存在感はなお限定的だ。

KPMGジャパン、「Venture Pulse(ベンチャーキャピタル投資レポート、2025年第4四半期)日本語抄訳版」を発表
出典: KPMG
世界のVC投資、6割がAIへ
出典: NewsPicks

世界はAIに61%集中、日本はその流れの周縁に

経済協力開発機構(OECD)が2026年2月17日に公表した政策動向レポートをNewsPicksが紹介したところによれば、2025年の世界VC投資総額のうちAI関連企業への投資は61%、金額にして2587億ドルに達した。この比率は2022年時点では30%だったため、わずか3年でシェアが倍増した計算になる。生成AI企業単体への資金流入も2022年の28億ドルから2025年には353億ドルへと急増している。さらに投資対象の内訳では、ITインフラ・ホスティング分野が2025年に1093億ドルを集め、他の全産業への投資合計1494億ドルに匹敵する規模まで膨張した。GPUやデータセンターなど計算資源への投資が世界のVCマネーを飲み込んでいる構図が鮮明になっている。

これに対しKPMGの別レポート「Global VC investment」によると、2025年第3四半期のアジア地域のVC投資は2,310件・168億ドルにとどまり、地政学リスクの影響で歴史的な水準からは依然低い。同四半期で中国が84億ドルを集めたのに対し、日本は13億ドル、インドは32億ドルだった。中国では自動車メーカーFAW Bestuneの4.62億ドル調達やデータセンター企業GLPの3.48億ドル調達が牽引役となっており、日本の大型AI単体ラウンドの薄さが際立つ。

大企業CVCが動く——Japanet・Aisinの200億円規模ファンド

資金供給側の変化として目立つのが、老舗企業によるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の拡大だ。Fortuneによると、シリコンバレーのPegasus Tech Venturesは2026年4月、通販大手Japanetのために運用するファンドを4倍の2億ドルへ拡大すると発表した。自動車部品大手Aisinも同社運用ファンドを2倍の1億ドルへ引き上げている。Pegasus創業者兼CEOのAnis Uzzaman氏は「日本企業はAI革命が起きていることを分かっており、米欧の採用スピードに後れを取っていることに焦っている」と述べた。国際データコーポレーション(IDC)の予測では日本のAIインフラ支出は今年55億ドルを超える見通しで、Microsoftも4月3日、今後4年間で日本のAIインフラに100億ドルを追加投資すると表明している。ただしUzzaman氏は、Pegasusの投資の約7割は依然として米国・欧州のスタートアップに向かっていると明かしており、国内CVCマネーの実質的な受け皿は海外企業であることも同時に浮き彫りになった。

国内スタートアップ資金の二極化と投資社数の減少

国内発スタートアップへの投資はどうか。VC専門メディアtechblitzのアンケートでは、ジャフコのチーフキャピタリスト赤川嘉和氏が「2025年は調達総額はおおむね一定だったが、案件ごとの金額の分布は広がり、産業特化型AI企業では数十億円から400億円規模の大型ラウンドも見られた」と振り返る。一方でビヨンドネクストベンチャーズは「投資額全体はやや縮小しつつ大型調達は成立し続け、特定テーマ・起業家への資本集中で投資社数は大きく減少した」と指摘する。グロース市場の上場目線が時価総額100億円規模へ引き上がったことも、スタートアップの資金調達戦略を難しくしている要因だという。

日本のAIスタートアップの現在地

データベースTracxnの集計では、日本には320社のAIスタートアップが存在し、うち126社が資金調達に成功、65社がシリーズA以上、50社がシリーズB以上に到達している。過去10年の累計調達額は20.4億ドルで、最も多かったのは2025年の6.43億ドル、2026年は年初来で1.98億ドルとなっている。代表的な調達事例として、AI研究のSakanaが3.79億ドル、AI議事録のNottaが3180万ドル、フィンテック・SaaSのLayerXが1.92億ドルを調達済みだ。M&Aは2025年にAI Picassoがリーダー電子に買収された1件にとどまり、大型のイグジットはまだ限られている。

展望と経営者への示唆

ジャフコとビヨンドネクストの両社とも、2026年は防衛関連技術やソフト・ハード統合型のディープテックへの関心が高まると見る。日本市場は58億ドルという過去最高の投資額を記録した一方、世界のAI集中度61%という基準に照らせば規模は小さく、CVCマネーの7割が米欧に流出する構造も続く。経営者にとっては、投資額の総量よりも「どこに資本が向かっているか」を精査し、国内ディープテック・大学系ファンドへの直接関与や、海外AI企業との提携条件の見直しを検討するタイミングにある。

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最終検証2026.08.22
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