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Amazon、AI の買い物の答えに広告主の情報を入れる「Branded Conversations」を発表——商品の候補が約50件から5件に減ると報じられるなか、広告枠を答えの中へ移す

検索結果の広告枠で稼ぐやり方から、AI の推薦の中身に関わる権利で稼ぐやり方へ。売るものが「場所」から「説明」に変わる

山本 浩二|2026.10.05|10分|更新: 2026.10.05

Amazon Ads が9月29日、AI の買い物の会話にブランドが渡した情報を反映させる「Branded Conversations」を発表した。AI の答えに並ぶ商品は約50件から5件ほどに減ると報じられており、広告を置ける場所は減っていく。Amazon は、広告枠を答えの中に移すことで、この減少を埋めようとしている。

Key Points

Amazon、AI の買い物の答えに広告主の情報を入れる「Branded Conversations」を発表——商品の候補が約50件から5件に減ると報じられるなか、広告枠を答えの中へ移す

Amazon の広告事業が、収益の源を移し始めた。Amazon Ads は9月29日、AI の買い物アシスタントの会話に広告主の情報を組み込む新しい広告商品「Branded Conversations」を発表した。買い物客が AI と何度かやりとりしながら商品を絞り込むとき、ブランドが渡した商品情報や説明を、その会話に反映させる仕組みである。

背景には、広告を置ける場所が減っていることがある。AI が答えとして示す商品は、従来の検索結果で約50件あった候補から5件ほどに減ると報じられている。この数字は Amazon の公式発表ではなく、業界メディアの報道によるものである。それでも方向ははっきりしている。商品の一覧が短い答えに置き換われば、その一覧の中に並べてきたスポンサー枠は、置く余地そのものが小さくなる。Branded Conversations は、この減少への Amazon の答えである。枠が減るなら、答えの説明の中身に関わる権利を売ればよい、という考え方だ。

何を売るのか——「場所」ではなく「説明」

Amazon の検索広告は長いあいだ、場所を売る商売だった。検索結果の上位や商品ページの一角に、入札で勝ったブランドの商品を出す。買い物客は数十件の候補を自分で見比べ、そのうちのいくつかが広告だった。

Branded Conversations で売るものは違う。Amazon Ads の広告商品(Sponsored Ads)を担当する副社長 Muthu Muthukrishnan は、この商品のねらいを次のように説明している。

Branded Conversations enables brands to provide product expertise and storytelling at customer decision moments.

訳: Branded Conversations を使うと、ブランドは顧客が何を買うか決める場面で、商品の詳しい情報や物語を届けられる。

— Muthu Muthukrishnan(Amazon Ads 広告商品(Sponsored Ads)担当VP), 2026-09-29, 出典

ここで大事なのは「顧客が何を買うか決める場面」という言い方である。検索広告が狙っていたのは、買い物客が候補を眺めている段階だった。Branded Conversations が狙うのは、AI が候補を絞り込み、なぜその商品がよいのかを説明する段階である。ブランドが手に入れるのは、表示される位置ではない。その説明に、自社の情報や物語を入れる機会である。

Sponsored Products の応用科学ディレクター Amjad Jbara は、仕組みの側からこう述べている。

multi-turn shopping conversations to help shoppers find the right products informed by brand-provided inputs

訳: ブランドから受け取った情報をもとに、何度かやりとりする会話で、買い物客が自分に合う商品を見つけられるようにする

— Amjad Jbara(Amazon Ads Sponsored Products 応用科学ディレクター), 2026-09-29, 出典

「ブランドから受け取った情報をもとに」という部分が、この商品の中心である。AI の推薦は、商品データ、レビュー、買い物客の質問から組み立てられてきた。そこに、お金を払う広告主が渡した情報が加わる。推薦の材料の中に、広告主の情報が正式に入ることになる。

なぜ今なのか——候補が5件なら、枠も5件

Amazon は Rufus や Alexa+ などの AI の買い物機能を広げてきた(Amazon の紹介ページ)。WeRSM は今回の発表を、ブランドが Alexa の買い物の答えに影響を与えられるようにするものとして伝えている。会話型の買い物が広がるほど、買い物客が検索結果の長い一覧をスクロールする時間は短くなる。

広告事業から見ると、これは在庫の問題である。表示回数とクリックで課金する広告は、見られる場所が多いほど売れる量も増える。候補が約50件から5件に減ると報じられた答えの画面では、同じやり方を続けても売れる量は細るしかない。しかも、残った5件の枠に広告をそのまま詰め込めば、AI の答えの信頼が下がる。買い物客が答えを信じなくなれば、会話型の買い物そのものが成り立たない。

そこで Amazon は、枠の数を増やすのではなく、一つの答えの中で広告主が関われる深さを売る方向を選んだ。AdExchanger は、この発表をエージェント型の新しい広告形式と、ブランド向けの管理機能をまとめて出したものとして伝えている。Amazon Ads は別のページで、エージェントによる買い物(agentic shopping)向けの広告の考え方も示している。答えの短い画面に合わせて広告商品を作り直す、という一連の流れの中に Branded Conversations はある。

最初の試験はセールの季節

発表のタイミングは、年末商戦の入り口に重なる。Amazon は10月6〜7日に、22か国で Prime Big Deal Days を開くと伝えられている。北米のマーケティングと Prime Tech を担当する副社長 Carmen Nestares は、9月19日にこのセールを次のように紹介した。

Prime Big Deal Days makes it easy to check it all off while saving.

訳: Prime Big Deal Days なら、節約しながら買い物リストをまとめて済ませられる。

— Carmen Nestares(Amazon 北米マーケティング・Prime Tech 担当VP), 2026-09-19, 出典

買い物リストを「まとめて済ませる」使い方は、AI のアシスタントに任せるのにちょうど向いている。何を買うか迷う場面が一度に多く生まれ、そのたびに AI が候補を絞る。Branded Conversations がこのセールでどこまで使えるようになっているのかは、発表からは分からない。ただ、広告主にとって、買い物客の迷いが最も集中する時期であることは確かだ。答えの中に自社の説明を入れるのと、短くなった一覧のスポンサー枠を取り合うのとでどちらが効くかを、広告主が比べ始める時期にもなる。

残る問い——どこまでが広告か

検索広告には、少なくとも「スポンサー」という表示があった。並んだ一覧のどれが広告で、どれがそうでないかを、買い物客は見分けられた。答えの説明そのものに広告主の情報が混ざると、この境目がぼやける。AI が「この商品は防水性能が高い」と言ったとき、それが商品データやレビューから出てきた評価なのか、広告主が渡した説明なのかを、買い物客はどうやって知ればよいのか。

発表は、ブランドが会話の中で商品の詳しい情報を届けられることを強調している。一方で、その情報が答えの中でどう表示されるのかが、これからの焦点になる。AI の推薦で売れる量が決まるなら、推薦の中身に関わる権利は、検索結果の上位の枠よりも価値が高くなりうる。そして価値が高いほど、その権利が見えない形で売られることへの警戒も強まる。

Amazon が今回示したのは、広告の在庫を、画面上の場所から AI の答えの中身へ移すという賭けである。候補が5件に減る世界では、5件のうちどれが選ばれ、どう説明されるかがすべてになる。Amazon はその説明を、広告主に売れる商品に変えようとしている。

風刺画: Amazon、AI の買い物の答えに広告主の情報を入れる「Branded Conversations」を発表——商品の候補が約50件から5件に減ると報じられるなか、広告枠を答えの中へ移す

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