プロダクト & モデル確認済Read in English

第三者の指数がv5に、オープンとクローズの差は3点から12点へ

Artificial Analysis が非公開の課題を入れて指数を作り直した。首位は Claude Opus 5.5 の58点だったが、翌日に Gemini 4 Carbon が59点で抜いた。2週間前の「差は3点」には、モデルの差だけでなく物差しの性質も映っていた

鈴木 理恵|2026.10.30|11分|更新: 2026.10.30

Artificial Analysis が10月27日、Intelligence Index を v5 に作り直した。汚染を避けるため、Cognition の FrontierCode 2.0 などの非公開の課題を入れた。その結果、オープンウェイトとクローズドの差は3点から12点に広がった。首位は Opus 5.5 の58点で、翌日に Gemini 4 Carbon が59点で抜いた。

Key Points

第三者の指数がv5に、オープンとクローズの差は3点から12点へ

第三者の評価機関 Artificial Analysis が10月27日、総合指数 Intelligence Index を v5.0 に作り直した。主な変更は、中身を公開しない課題を入れたことだ。学習データに課題が混じる「汚染」を避けるためである。その結果、オープンウェイトのモデルとクローズドのモデルの差は、v4.3 の3点から12点に広がった。

10月23日には「オープンとクローズの差は3点まで縮む」と報じられた。それからわずか4日で、同じ機関の数字が4倍になったことになる。モデルは何も変わっていない。変わったのは物差しの方だ。2週間前の「差は3点」は、モデルの実力の差だけでなく、公開の課題で測るという物差しの性質も映していた面がある。

何を変えたのか:非公開のコーディングの課題を入れた

Artificial Analysis の発表記事によれば、v5 では2つの評価が加わった。1つは Terminal-Bench Science、もう1つは、テストの中身を伏せたコーディングのベンチマークである。後者について、発表記事は次のように書いている。

FrontierCode 2.0: Cognition's newly-launched private benchmark of real-world coding tasks, graded on whether a repository maintainer would merge the agent's change

訳: FrontierCode 2.0:Cognition が新しく立ち上げた、実務のコーディング課題による非公開ベンチマーク。エージェントの変更をリポジトリのメンテナーがマージするかどうかで採点する。

— Artificial Analysis(独立系のAI評価機関(Intelligence Index v5 の発表記事)), 2026-10-27, 出典

このベンチマークを作った Cognition は、コーディングのエージェント Devin を開発する会社だ。前の版の FrontierCode 1.1(10月12日)は、36のオープンソースのリポジトリの保守者と一緒に作った100の課題で、採点は GPT-6 Luna が担っていた。2.0 は、採点の基準を「メンテナーがその変更をマージするか」に置き、課題そのものを外に出さない。テストを通ることではなく、実際のリポジトリに取り込まれる品質かどうかを問う、実務寄りの物差しである。

課題を伏せる理由について、発表記事の説明は短い。

The tasks stay private to avoid contamination.

訳: 課題は汚染を避けるために非公開のままにする。

— Artificial Analysis(独立系のAI評価機関(Intelligence Index v5 の発表記事)), 2026-10-27, 出典

課題が公開されていると、いずれ学習データに入り込み、モデルは解き方を覚えてしまう。点数は伸びても、初めて見る問題を解く力が伸びたとは限らない。非公開にすれば、その抜け道はふさがる。そのかわり、外の人は課題の中身を確かめられない。どちらを取るかの選択で、Artificial Analysis は汚染を避ける方を選んだ。

差は3点から12点に

物差しを変えると、オープンウェイトの側が大きく下がった。発表記事はこう書いている。

The open weights gap widens from 3 points to 12: Kimi K3.1 Pro (weights not yet released) is the top open weights model at 46.

訳: オープンウェイトとの差は3点から12点に広がった。オープンウェイトの首位は Kimi K3.1 Pro(重みはまだ公開されていない)で46点。

— Artificial Analysis(独立系のAI評価機関(Intelligence Index v5 の発表記事)), 2026-10-27, 出典

Kimi K3.1 Pro は、10月23日の v4.3 では55点で、総合4位だった。上にいたのは Claude Opus 5.5(58点)だけで、差は3点だった。v5 では Kimi K3.1 Pro が46点に下がり、Opus 5.5 は58点のままだ。差は12点に開いた。

ただ、物差しが変わってもクローズドの側がそろって同じ動きをしたわけではない。v4 で53点だった GPT-6 Astra は v5 で57点に上がった。同じく53点だった Gemini 4 Argon は50点に下がった。新しい課題で得をしたモデルも損をしたモデルもある。そのなかで、オープンウェイトの首位は9点下がり、いちばん大きく落ちた。

なお、この「オープンウェイトの首位」は、重みをまだ公開していない。Moonshot は11月4日までに重みを出すと約束しているが、公開版はサイバーの学習データを抜いたものになると報じられている。実際にダウンロードできるモデルの点数は、46点からさらに変わるかもしれない。

首位の入れ替わり:Opus 5.5 の58点を、翌日に Carbon が59点で抜いた

v5 が出た10月27日の時点では、首位は Claude Opus 5.5 の58点だった。翌28日、Google DeepMind が Gemini 4 Carbon を出した。Artificial Analysis は評価記事で、Carbon を新しい1位とした。

Gemini 4 Carbon scores 59 on Intelligence Index v5, driven by leading performance in complex reasoning, knowledge, and scientific tasks.

訳: Gemini 4 Carbon は Intelligence Index v5 で59点。複雑な推論、知識、科学の課題で首位に立ったことが効いた。

— Artificial Analysis(独立系のAI評価機関(Gemini 4 Carbon の評価記事)), 2026-10-28, 出典

v5 での並びは、Gemini 4 Carbon が59点、Claude Opus 5.5 が58点、GPT-6 Astra が57点で、上位3つは2点の幅に収まる。2週間前に出た Gemini 4 Argon は50点だった。Carbon は Argon より9点高い。一方、オープンウェイトの首位は46点で、Carbon とは13点の差になる。

Carbon は、今週はサイバー防御の「Fairwind Program」の一部の参加者にしか提供されていない。モデルカードとフロンティア安全枠組みの報告もまだない。首位のモデルが、一般の開発者にはまだ触れないモデルだということになる。

「差は3点」は何を測っていたのか

v4.3 と v5 の差は、物差しの性質の違いとして読める。公開の課題が多い物差しでは、オープンとクローズの差は小さく見えた。中身を伏せた実務寄りの課題を入れると、差は大きく見えた。汚染が原因の1つだとすれば、公開のベンチマークで追いついたように見えたモデルの一部は、初めて見る課題ではまだ追いついていなかった、ということになる。

ほかの物差しも同じ方向を指している。Epoch AI は10月16日、オープンウェイトのサイバー能力はクローズドより6〜7か月遅れていると見積もった。研究の数学の未発表の問題10問を解く First Proof の第3回では、最良のオープンウェイトの Kimi K3 が0問だった。課題が公開されていない、あるいは新しく作られた場面ほど、差は大きく出ている。12点という数字は、これらとよく合う。

ただし、汚染だけが理由だとは言い切れない。v5 で加わったのは、エージェントとして長くコードを書き、メンテナーが納得する変更を出すという、特定の種類の力を測る課題でもある。この種の力に強いモデルとそうでないモデルがあれば、汚染がなくても順位は動く。GPT-6 Astra が上がり、Gemini 4 Argon が下がったのも、そうした得手不得手の表れかもしれない。

読むときの注意

第一に、v4.x と v5 の点数は比べられない。10月26日に GPT-6.1 Terra が48点・221モデル中25位とされたのも、10月23日に Kimi K3.1 Pro が55点・4位とされたのも、古い物差しの上の数字だ。Opus 5.5 が新旧どちらでも58点なのは、同じ力を示しているわけではない。

第二に、Artificial Analysis の専用の変更履歴のページは見つからなかった。新しい課題がそれぞれ指数の中でどれだけの重みを持つのか、外した課題はあるのかが分からない。12点の差のうち、汚染を除いた分、課題の種類が変わった分、重みづけを変えた分を、外から切り分けることはできない。

第三に、非公開の課題は、外の人が確かめられない。汚染を避けるために課題を伏せれば、そのぶん評価機関と課題を作った会社への信頼に頼ることになる。FrontierCode 2.0 を作った Cognition は、自分でもコーディングのエージェントを売る会社である。GIGAZINE などの報道も、Artificial Analysis 自身の説明をなぞっており、課題を独立に調べた第三者はまだいない。

それでも、今回の作り直しから言えることは1つある。オープンとクローズの差を何点と言うときは、どの物差しで測ったかを一緒に言わなければならない。2週間前の「3点」と今週の「12点」は、どちらも正しい数字だ。違うのは物差しの方である。

風刺画: 第三者の指数がv5に、オープンとクローズの差は3点から12点へ

Editorial Cartoon

本記事がもたらす影響を風刺的に描いたひとコマ漫画

Verification

信頼ラベル確認済
一次ソース3件確認
最終検証2026.10.30
VerifiedRev. 1
sha256:cc3b422d0759f58d...ba325414

この記事はEd25519デジタル署名で検証済みです。改ざんは検出されていません。

検証API
Ethics Score95/100
引用密度20/20
ソースURL数15/20
信頼ラベル15/15
表現の慎重さ15/15
キーポイント10/10
サマリー品質10/10
本文充実度10/10

v1.0.0 — ルールベース自動採点

詳細API
Share

関連記事

SemiAnalysisの新指標GDPx、首位Opus 5.5でも12%
プロダクト & モデル確認済

SemiAnalysisの新指標GDPx、首位Opus 5.5でも12%

半導体とAIの調査会社SemiAnalysisが、エージェント向けの第三者ベンチマーク「GDPx」を出した。11の専門分野で1課題に最長8時間かけさせる形式で、首位のClaude Opus 5.5でも解けたのは12.0%だった。サイバー、生物、アラインメントでは、安全の分類器のせいで点が下がった。

2026.11.03
Claude Code、既存ゲームの作り直しを断る2文を追加と報道
プロダクト & モデル報道

Claude Code、既存ゲームの作り直しを断る2文を追加と報道

Anthropic が、Opus 5.5 で動く Claude Code のシステムプロンプトに、特定の既存ゲームを作り直させない2文を足したと Kotaku などが報じた。IP の方針を利用規約ではなくエージェントへの指示文で守らせる形になる。利用者が止める設定はなく、リバースエンジニアリングやセキュリティの作業まで断られるという不満も出ていると伝えられる。

2026.11.02
Pinecone、検索エンジンをPostgres拡張で公開 数字は自社測定
プロダクト & モデル確認済

Pinecone、検索エンジンをPostgres拡張で公開 数字は自社測定

Pinecone が自社のベクトル検索エンジンを、Apache 2.0 の Postgres 拡張「pg_pinecone」として公開した。アカウントなしで既存の Postgres の中で動き、大きくなれば自社クラウドへ移れる。索引は pgvector の約30分の1とするが、性能の数字はすべて自社の測定で、第三者の検証はまだない。

2026.11.01