Oracle が、2027年から Google の TPU を自社のクラウドで出すと報じられている(10月27日の報道)。実現すれば、Google 以外の大手クラウドが TPU を出すのは初めてになる。Oracle は NVIDIA との供給の契約も広げ、Cerebras と SambaNova のチップも並べるという。ネットワーク部品の一部は、自社の製品に替えるとも伝えられた。
いずれも報道の段階で、Oracle、Google、NVIDIA の発表は確かめられていない。編集部は、元の記事の本文も読めていない。契約の金額、TPU の世代、どれだけの規模で出すかは、この記事では扱わない。Oracle は10月28日に Investor Day を開く。開催は会社自身が告知しており、これは一次情報である。
報じられた中身:4社のチップと自前のネットワーク
報道によれば、柱は4つある。
1つ目は NVIDIA で、既存の契約を広げる。NVIDIA を外すわけではない。
2つ目は Google の TPU で、2027年からになる。
3つ目は Cerebras、4つ目は SambaNova である。どちらも独自の設計の AI アクセラレータを作り、推論の速さを売りにしてきた会社だ。
あわせて、ネットワーク部品の一部を自社の製品に置き換えるという。どの部品をどこから替えるのかは、報道からは分からない。それでも、チップの間をつなぐ部分は、アクセラレータそのものと並んで、データセンターの費用と性能を左右する。そこも自前に寄せるなら、Oracle は計算基盤の部品表のあちこちで、1社に頼る度合いを下げようとしていることになる。
なぜ「Google 以外で初めて」が重いのか
TPU は長く、Google が自社のモデルと Google Cloud の顧客のために作るチップだった。外から使うなら、Google Cloud と契約するのが前提だった。報道どおりなら、競合のクラウドが TPU を並べて売ることになる。Google にとっては、TPU を自社のクラウドの差別化の材料から、外に売るチップの事業へと一歩進める意味を持つ。
Oracle にとっての利点は、NVIDIA の GPU と並ぶ大規模な選択肢を、実績のある設計で手に入れることだ。Cerebras と SambaNova は推論に強いが、生産と導入の規模ではまだ小さい。大規模に回せる NVIDIA 以外の選択肢が、Oracle の棚に初めて並ぶことになる。
同じ2027年に、各社が NVIDIA から距離をとる
NVIDIA 一社に頼る形から離れる動きは、Oracle だけではない。Microsoft は10月12日、推論用の自社チップ Azure Maia 300 を、2027年に量産すると一次情報で発表した。先端の GPU のシステムより、1メガワットあたり40%多くトークンを出すと主張し、ギガワット規模で配備する計画を示している。Copilot と自社のモデルの主な計算基盤にするという。
Microsoft は自社でチップを設計する道を選んだ。報道どおりなら、Oracle は他社の設計を何本も並べる道を選んだことになる。やり方は違うが、狙いは同じだ。NVIDIA の供給と値段に縛られないようにすることである。しかも、両社の計画は同じ2027年に重なる。
ただし、これで NVIDIA の地位がすぐに崩れるわけではない。Oracle は NVIDIA との契約を広げると伝えられ、Microsoft も GPU を使い続ける。起きているのは置き換えではなく、調達先を広げることだ。それでも、価格の交渉力と、どのチップを受け持つかの割り振りは変わっていく。
まだ分からないこと
第一に、Oracle 自身が認めるかどうか。10月28日の Investor Day で、TPU、Cerebras、SambaNova の扱いや、ネットワークの自社製品に触れるかが最初の確かめどころになる。
第二に、規模と条件。TPU をどの世代から、どれだけの容量で出すのか。Google が Oracle に、チップを売るのか、自社の運用ごと貸すのか。報道の段階では、どれも分からない。
第三に、ほかのクラウドが続くかどうか。同じ週には、Alphabet と Microsoft(10月28日)、Amazon(10月29日)の決算がある。各社がチップの調達先と設備投資について何を語るかで、NVIDIA 一社に頼る形から離れる動きがどこまで広がっているのかが見えてくる。




