Mythos Preview、既存モデルを軒並み凌駕
Anthropicは2026年4月7日、新モデル「Claude Mythos Preview」を発表した。ギズモード・ジャパンによれば、System Card内のベンチマークではSWE-bench(実践的ソフトウェア工学能力)、Terminal-Bench(コマンドライン操作)、GPQA(大学院レベル専門知識)、MMMLU(多言語知識)、USAMO(米高校数学オリンピック)、GraphWalks(長文脈グラフ推論)、HLE(超高難易度推論)、CharXiv Reasoning(図表理解)、OSWorld(PC操作)のいずれにおいても、現行フラッグシップのClaude Opus 4.6を大きく上回った。さらにOpenAIのGPT-5.4、GoogleのGemini 3.1 Proをも凌ぐ結果となり、汎用性能では文字通りトップの座に立った。
脅威能力の実証データが公開を阻む
ところが性能向上の副産物として、サイバー攻撃能力も急伸した。日経クロステックの報道では、修正済みのFirefox 148脆弱性を突くエクスプロイト作成を250回試行させた結果、Claude Sonnet 4.6は0回、Claude Opus 4.6は2回だったのに対し、Mythos Previewは181回成功し成功率72.4%に達した。GIGAZINEの報道では、深刻度「高」以上と推定される脆弱性候補を6,202件発見したとの初期レポートも紹介されており、公開済み脆弱性から数時間で攻撃を組み立てられる「N-dayがN-hourに変わる」水準に達したとAnthropicは指摘している。この結果を受け、Anthropicはモデルカードのみを公開し、実モデルはサイバーセキュリティ重視の一部パートナー企業(Project Glasswing)に限定提供する異例の対応を取った。一般公開はモデルカードのみという初のClaudeモデルとなった。
Fable 5とMythos 5、限定的な一般解放
2026年6月9日、Anthropicは同一基盤モデルから安全対策の強度を分けた「Claude Fable 5」(一般向け)と「Claude Mythos 5」(承認済みパートナー向け)を発表した。窓の杜によれば、両モデルはほぼ全ベンチマークで最先端を記録し、決済サービスStripeの5,000万行Rubyコードベース移行では、通常チームが2カ月かける作業をFable 5が1日で完了させた。長文脈処理でも『Slay the Spire』評価でOpus 4.8比3倍の性能向上幅を示した。マイナビニュースによれば、Fable 5にはサイバーセキュリティや生命科学関連の高リスク要求を検知する分類器が組み込まれ、リスク検知時はOpus 4.8にフォールバックする仕組みも導入された。フォールバック発生率は通常セッションで5%未満にとどまるという。Fable 5とMythos 5には全トラフィックに対し30日間のデータ保持ポリシーが課され、悪用検証のためのデータは新モデル訓練には使用されない。
Opus 5・Sonnet 5との性能・価格比較
7月24日発表の「Claude Opus 5」は、Fable 5に迫る性能を半額で提供する戦略で登場した。BigGoによれば、API価格は入力100万トークンあたり5ドル、出力25ドルとOpus 4.8から据え置き。エージェント型コーディング評価「Frontier Bench v0.1」ではOpus 5が43.3%を記録し、Fable 5の33.7%、GPT-5.6 Solの34.4%を上回った。一方でOSS-Fuzz脆弱性検出は79.4%とMythos 5の80.0%に迫りながら、実際のエクスプロイト成功は14回中4回とMythos 5の13回を大きく下回り、攻撃能力と検出能力を意図的に切り離した設計が確認された。同時期の「Claude Sonnet 5」は入力2ドル・出力10ドルの導入価格で、Firefoxエクスプロイト評価では250試行中0件と、Mythos 5の88.4%とは一線を画す安全域に収められている。
米政府の輸出規制で全面停止
ITmedia NEWSによれば、7月22日、米政府の輸出規制指令によりMythos 5とFable 5は全面停止となった。Anthropicは早期復旧を目指すとしているが、最上位モデル群が政府判断で利用不能になるという前例のない事態は、サイバーセキュリティ業界に二極化をもたらしつつある。GIGAZINEは日本の銀行でも初期レポートを踏まえた利用検討が進んでいたと報じており、規制の影響は国内外の防御的セキュリティ運用にも及ぶ可能性がある。

