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California、AI 法案を一挙に署名——No Robo Bosses 法と職場の感情推定の禁止で、州が連邦の自主規制より先へ

9月30日の署名期限に、Newsom 知事は雇用での自動意思決定、職場での感情推定の禁止、AI 透明化法の改正を含む AI 法案に署名した。連邦が企業との自主規制の協定に頼るなか、州は職場の AI に拘束力のある義務を課し始めている

山本 浩二|2026.10.02|7分|更新: 2026.10.02

California の Newsom 知事が9月30日の署名期限に、AI 法案をまとめて署名した。雇用での自動意思決定を縛る No Robo Bosses 法、職場での感情推定の禁止、AI 透明化法の改正が含まれる。連邦が自主規制の協定を頼みにするなか、州は職場の AI に拘束力のある義務を積み上げている。

Key Points

California、AI 法案を一挙に署名——No Robo Bosses 法と職場の感情推定の禁止で、州が連邦の自主規制より先へ

California 州の Gavin Newsom 知事が、9月30日の署名期限に AI 法案をまとめて署名した。州知事室の発表(一次情報)は、これを全米で初めての労働者保護の追加と位置づけている。中心は3つある。雇用での自動意思決定を縛る、いわゆる No Robo Bosses 法。職場での感情推定の禁止。そして、州の AI 透明化法の改正である。

この記事で伝えたいことは1つだ。連邦は AI 企業との自主規制の協定を頼みにしている。その間に州は、職場で使われる AI について、守らなければならない義務を1つずつ法律にしている。

期限の日に、まとめて署名

California の議会で通った法案は、知事が期限までに署名するか拒否権を使うかで決まる。今年の期限は9月30日で、Newsom 知事は AI の法案をこの日にまとめて処理した。AI の安全性を追う団体 Transparency Coalition は、今回新しく法になった AI の法律を11本と数えている(Transparency Coalition)。CNBC も、知事が職場の AI について禁止を含む法案に署名したと報じた(CNBC)。

知事室は、今回の署名で州の AI の枠組みが「さらに強くなった」としている。California はこれまでも、フロンティアモデルの開発者に安全の枠組みの公表を求める法律や、生成 AI の透明化の法律を先に作ってきた。今回はそこに、働く人と AI の関係を扱う法律が加わった。

No Robo Bosses 法——人事の判断を機械に任せきりにさせない

No Robo Bosses 法が扱うのは、採用、昇進、懲戒、解雇などの雇用の判断に使われる自動意思決定システムである。ねらいは、人に影響の大きい判断を、人間の関与なしにシステムだけで決めさせないことにある。

この名前の法案は初めてではない。2025年には同じ趣旨の SB 7 が議会を通ったが、Newsom 知事が拒否権を使った。それから1年で、この種の規制が知事の署名を得たことになる。

エージェントが書類選考や勤務の割り当て、成績の評価まで担うようになった今、規制の対象はもう仮定の話ではない。人事の流れにエージェントを組み込む企業にとって、「最後は人間が見る」ことが設計上の選択ではなく、法的な要件になる。

職場での感情推定の禁止

もう1つの柱は、職場で AI に働く人の感情を推し量らせることの禁止である。表情や声、文字から気分や意欲を読み取る技術は、コールセンターの通話の監視や、オンライン面接の評価に使われてきた。

CNBC が見出しに「禁止」と掲げたのはこの点だ。働く人は、AI に内心を採点されることを、職場では断りにくい。感情推定は科学的な裏付けが弱いという批判も前からある。この法律で、そうした使い方は州の中では許されなくなる。

AI 透明化法の改正

3つ目は、2024年に成立した AI 透明化法(SB 942)の改正である。この法律は、大規模な生成 AI の提供者に、AI が作った内容だと分かるようにすることを求めている。今回の改正で、州が求める開示の中身が更新された。職場の規制とは別の線だが、AI の出力に誰が責任を負うのかを法律で決めていく、という流れは同じである。

労働側が得たのは一部だけ

ただし、これで労働側が満足したわけではない。CalMatters は、Newsom 知事が AI について労働側の要求の「一部しか」かなえなかったと伝えている(CalMatters)。労働団体が通そうとした法案のうち、署名されたものもあれば、そうでないものもあった。

知事は、産業界の反発と、働く人を守れという労働側の圧力の間で線を引いた。それでも、雇用の自動意思決定と感情推定という2つの点では、法的な義務が残った。強さに不満が出るとしても、方向ははっきりしている。

連邦は自主規制の協定、州は拘束力のある義務

連邦と比べると、違いが際立つ。連邦政府がいま頼りにしているのは、AI 企業とのホワイトハウスの自主規制の協定である。その協定は、署名した会社が6社なのか31社なのかさえ定まっていない。誰が監視するのか、外部の評価者を誰が選ぶのかも示されていない。立法の文案は、OSTP(大統領府科学技術政策局)から11月28日ごろに出る見込みとされる段階である。Google、OpenAI、Anthropic が作ろうとしていると報じられた業界の自主規制機関(SAFA)も、9月24日以降は続報がない。

しかもその自主規制が扱うのは、主にフロンティアモデルの破滅的なリスクである。採用を落とされた人や、感情を採点される人の側に立つ仕組みは、連邦の協定の中に見当たらない。そこを埋めているのが州の法律だ。

次の争点は、連邦による先取り(州の規制を連邦法で上書きすること)である。連邦の法案が州の AI 規制を封じる形になれば、今回の法律の効力も争いになりうる。AI 企業が連邦の先取りの法案を支持するかどうかは、協定を本気で守るつもりがあるかを測る試金石にもなる。

次に見るもの

今回の法律が実際に効くかどうかは、細部で決まる。どの企業とシステムが対象になるのか。いつ施行されるのか。違反したときにどう執行されるのか。人事にエージェントを組み込む企業は、評価駆動開発や Agent Observability で、判断の記録と人間の関与を後から示せるようにしておく必要が出てくる。11月の OSTP の文案が州の法律にどう向き合うのかも注目である。California は、働く人の側から AI に縛りをかける実験を、法律として始めた。

風刺画: California、AI 法案を一挙に署名——No Robo Bosses 法と職場の感情推定の禁止で、州が連邦の自主規制より先へ

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