Nvidiaがアンカー投資家に浮上、評価額2兆ドル規模のIPOへ
Anthropicが計画する新規株式公開(IPO)で、Nvidiaがアンカー投資家として最大100億ドル(約1.5兆円)の投資を検討していることが明らかになった。関係者によると、Anthropicは今回の公募で最大1000億ドル(約15.4兆円)の調達を目指しており、実現すれば評価額は約2兆ドル(約307.4兆円)に達する可能性がある。計画通りに進めば上場は11月の米中間選挙前に完了する見通しで、BigGoファイナンスによれば、これはOpenAIを含む他の大手AI企業が公募を検討する中で直接的な比較対象になるという。
Nvidiaは2025年11月にAnthropicへ最大100億ドルの投資を発表済みで、これはAnthropicがNvidia製チップ搭載のMicrosoft Azureのコンピューティング能力300億ドル分の購入を約束する提携の一環だった。アンカー投資家としての参加は、GPU供給を超えた戦略的資金提供者としての関係の新たな層を意味する。半導体設計のArm上場時のNvidia・Amazon、SpaceX上場時のサウジアラビア公共投資基金と同様の役割になるとみられる。
14カ月で評価額15倍、9000億ドル超ラウンドから2兆ドルへ
Forbes JAPANによれば、Anthropicは2025年3月の評価額615億ドルから、2025年9月に1830億ドル、2026年2月に3800億ドル(300億ドル調達)、そして4月末には評価額9000億ドル超・総額500億ドルの資金調達ラウンドを準備していた。同じ事業・製品・市場のまま14カ月で15倍という値付けの急上昇である。
実際には2026年5月28日、Altimeter Capital、Dragoneer、Greenoaks、Sequoia Capitalが主導するシリーズHで650億ドルを調達し、ポストマネー評価額9650億ドルに到達した。ActuIAによると、この時点での年間ランレートは470億ドル超、評価額はランレートの約20.5倍だった。それが今回、IPOで2兆ドル規模へとさらに跳ね上がる見通しとなっている。
投資適格級格付けと11.7兆ドル社債市場へのアクセス
BigGoファイナンスの報道によれば、AnthropicとOpenAIは投資銀行チームを通じ、Fitch、Moody's、S&Pの3大格付け機関にIPO完了後できるだけ早期の投資適格級取得を働きかけている。実現すれば約11.7兆ドル(約1798.1兆円)規模の米国社債市場へより低コストでアクセスでき、データセンターやチップ調達などAIインフラへの追加資金確保が可能になる。
Anthropicの2026年7月の年率換算収入は650億ドル(約10兆円)に達し、5月の470億ドルを上回ったが、一部投資家が期待していた800億ドル以上は下回った。CreditSightsのジョーダン・チャルフィン氏は、Anthropicが約1000億ドルを調達できれば急成長する収入が投資適格級取得につながる可能性があると見る。一方でOracleはOpenAI向けの3000億ドル規模のデータセンター建設計画のため資金調達を行っており、S&Pは7月に同社の長期格付けをBBBからBBB-へ引き下げ、理由としてOpenAIを「重要な信用リスク」と明記した。
格付け機関は依然「投機的等級」と慎重視
ウォール街からの働きかけは強いものの、格付け機関は慎重姿勢を崩していない。ある信用アナリストは「我々は現時点でOpenAIとAnthropicを投機的等級のかなり深い位置にあると見ている……両社は依然として赤字だ」と述べたという。両社とも黒字化しておらず、安定的にプラスのフリーキャッシュフローを生み出す能力も示していない。加えて開示財務情報が限定的で、年間経常収益(ARR)など楽観的指標を多用しており、実際の収益力の検証が不十分との指摘もある。
TradingKeyによれば、Anthropicは2024年に約56億ドルの損失を計上したが、2028年までに売上高700億ドル、フリーキャッシュフロー170億ドルの達成を目指す。対するOpenAIは2028年までにAI計算関連支出が1210億ドルに達し、同年850億ドルの損失、累積損失2000億ドル超の可能性があり、黒字化は2030年以降と見込まれる。
OpenAIとの評価額競争が生む業界の構図
二次市場の取引データでは、Anthropicへの投資家の関心がOpenAIを上回り、Anthropicの評価額が初めてOpenAIに対しプレミアムで取引される事態も起きている。TradingKeyによれば、法人向けAI市場でのOpenAIのシェアは35.2%に低下し、Anthropicとの差はわずか4.6ポイントまで縮まった。
GoogleとBroadcomはAnthropicの自社チップ使用に対し数百億ドル規模の信用支援を提供しており、BroadcomのホックタンCEOはAnthropicの上場後「投資信用が変化する」と述べ、両社は「それ自体がハイパースケーラーへと成長しつつある」と語った。実現すれば2026年6月に上場したSpaceXの評価額1.78兆ドルを上回り、史上最大規模のIPOとなる可能性がある一方、両社の財務体質と格付け機関の評価には依然大きな乖離が残っている。
