Anthropic PBCの企業評価額が2026年に入り異例のペースで切り上がっている。Forbes JAPANによれば、2025年3月時点で615億ドルだった評価額は同年9月に1830億ドル、2026年2月には300億ドルを調達し3800億ドルへ達した。さらに同年4月30日、投資家に48時間の期限を切って評価額9000億ドル超・総額500億ドルの新規調達ラウンドを打診したと報じられた。実際にはTradingKeyの報道では5月28日時点で650億ドルの調達により評価額は9650億ドルに確定し、3月時点で8520億ドルだったOpenAIの評価額を初めて上回った。14カ月で評価額は15倍に膨らんだ計算になる。
売上高が3年連続10倍超、Claude Codeが牽引
この評価額を支えるのが異例の売上成長だ。Anthropicの年間換算売上高(ARR)は2024年12月の10億ドルから2026年3月末には300億ドルへ拡大し、3年連続で10倍超の成長率を記録した。Forbes JAPANの分析では、セールスフォースやSnowflake、ServiceNowですらこの規模でこの成長率を維持した例はなく、OpenAIのARR約250億ドルをも上回ったとされる。フォーチュン10企業のうち8社が顧客に含まれ、年間100万ドル以上を支出するエンタープライズ契約は2年前の約12社から1000社超へ増加した。
2025年5月に投入されたコーディングエージェント製品Claude Codeは、2026年2月時点で単体の年間換算売上高が25億ドルに達し、法人向けサブスクリプションは1月からの6週間で4倍に伸びた。Anthropicは世界のGitHubパブリックコミットの4%を同製品が支えると推定している。7月21日に投入されたClaude Opus 5も、Gemini 3.5 Proが未投入のGoogleに対する優位性を印象づけた。
OpenAIとの逆転劇と収益力の差
評価額の逆転はその後も続いた。Yahoo Financeが伝えたNasdaq Private Marketのデータでは、8月時点でAnthropicの評価額は1.13兆ドル、OpenAIは7億ドルの自社株買い後で852億ドル、私設市場評価では847億9600万ドルとされ、差はさらに広がった。biggo.jpの報道によれば、両社そろって評価額1兆ドルに迫るIPO計画が始動する一方、Anthropicが先行して黒字化を実現したのに対しOpenAIは赤字が続いているとされ、収益力の差が鮮明になった。Anthropicの5月時点のARRは4.7億ドルを超えたとも報じられ、成長ペースが投資家の評価を後押ししている。
さらにFinancial Times(現地報道の日本語紹介記事)によれば、AnthropicはIPOに向けて2兆ドル規模の資金調達を視野に入れ、SpaceXやOpenAIに挑む形で新たな未上場企業の評価額記録を狙っているという。パネースラボの報道でも、企業価値・収益・市場シェアの全てでOpenAIを凌駕し、シリコンバレーの新たな主役になったと評されている。
未公開株連動トークンは急落、SPV譲渡は無効と両社警告
評価額急騰の裏で、投資家が事前にエクスポージャーを取ろうとする動きも生まれた。CoinDesk Japanによれば、SolanaベースのプラットフォームPreStocksが発行するAnthropic・OpenAIの株式連動トークンは、両社が特別目的事業体(SPV)への株式譲渡を無効と警告したことを受け、1週間でAnthropic連動トークンが34%、OpenAI連動トークンが39%急落した。両社はOpen Door Partners、Hiive、Forgeなどの仲介業者を無許可と認定し、無断取引は米証券法違反や基礎株式の無効化につながる恐れがあると強調した。PreStocksの流動性は33万3000ドルのステーブルコインと1万8000ドル相当のSOLにとどまり、総資産約2300万ドルに対し暗示評価額が1.3兆ドルを超えるという開示との乖離も露呈した。
一方で正規の機関投資家経由の投資も進む。moomooコミュニティが伝えたブラックロックのデータでは、同社の未公開株ファンドの上位保有銘柄にAnthropic PBCが約6.2%の比率で組み入れられ、7%規模の配当利回りを生んでいるとされる。正規ルートと非公式トークンの評価乖離は、未公開段階のAI企業に投資機会を求める市場の過熱ぶりを映し出している。


