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AI学習データ「オプトアウト・デフォルトオン」化が加速 Twitch・Google・GitHubが相次ぎ導入、権利処理の負担は個人に転嫁

日本は2026年法改正でAI学習の同意不要特例を明確化、EUは機械可読オプトアウトを軸に——制度間のズレが企業のリスク管理を複雑にする

山本 浩二|2026.09.11|8|更新: 2026.09.11

TwitchやGoogle、GitHub Copilotがデフォルトオンのオプトアウト方式を相次ぎ導入。日本は2026年法改正でAI学習の同意不要特例を明記し、権利処理の負担が個人側へ転嫁される構図が国際的に定着しつつある。

Key Points

Business Impact

自社が使うSaaS・配信・開発ツールのプライバシー設定を棚卸しし、AI学習向けオプトアウトが「デフォルトオン」になっていないか今週中に確認すべきである。特にGitHub Copilot Free/Pro/Pro+やTwitch連携アカウントは個別設定が必要なため、情報システム部門経由で全社ポリシーとして一括オプトアウトを検討するのが現実的な次の一手となる。

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Twitchが、配信コンテンツを「Amazonの生成AIモデルに学習させる」設定を追加して波紋広がる。デフォルトでは「オン」 - AUTOMATON
出典: AUTOMATON

相次ぐ「デフォルトオン」型オプトアウトの導入

2026年に入り、大手プラットフォームがユーザーコンテンツをAI学習データとして利用する設定を相次いで導入している。共通するのは、明示的な同意(オプトイン)ではなく、拒否しない限り学習利用が続く「オプトアウト」方式であり、しかも初期設定は「オン」であることが多い点だ。AUTOMATONによれば、Twitchは日本時間8月13日、ユーザー設定の「セキュリティとプライバシー」タブに「生成AIのトレーニング」項目を新設し、配信コンテンツを親会社Amazonの生成AIコンテンツモデルの学習に使うかどうかを選べるようにしたが、この設定はデフォルトでオンになっている。

【論考】生成AIによる創作で「文化」が変わる | 研究プログラム | 東京財団
出典: 東京財団

Twitchのチーフ・プロダクト・オフィサーであるMike Minton氏は、オプトイン方式にすれば「誰も自発的に許可を選ばない」ためオプトアウト方式を採用したと説明しており、企業側が学習データ確保を優先する姿勢が透けて見える。同様の動きはBiGGO Japanも報じており、配信者コミュニティでは反発の声が広がった。

Google検索、GitHub Copilotも同型式を採用

Googleも6月、検索サービスのプライバシー設定を段階的に更新し、画像・ファイル・音声動画記録などのメディアをAIモデル改善のために保存できる範囲を拡大した。MEDIAMIXIの報道では、Google検索だけでなくマップ、ショッピング、フライト、ホテル、翻訳、ニュースなど他サービスにも適用され、オプトアウトしない限りアップロードしたメディアはAI学習に利用される。オプトアウトには「マイ アクティビティ」ページから「検索サービスの履歴」タブを開き、個別に設定変更する必要があり、ZDNet Japanも同様の変更を報じている。

開発者向けツールでも同様の構図がある。GitHubは公式ブログで、2026年4月24日以降GitHub Copilot Free、Pro、Pro+ユーザーの入力・出力・コードスニペット・関連コンテキストが、オプトアウトしない限りAIモデルの学習と改善に使用されると発表した。Business・Enterpriseプランは対象外だが、個人・小規模開発者が使う無料・有料プランのユーザーは自ら設定を変更しない限り学習データ提供者となる。データはMicrosoftを含む関連会社と共有され得るが、サードパーティのAIモデル提供者とは共有されないとしている。

日本は2026年法改正でAI学習の同意不要特例を明確化

日本国内では2026年5月26日、個人情報保護法等の改正案が衆議院を通過した。セキュリティ対策Labの分析によれば、統計目的やAI学習・分析のためのデータ提供については、提供元企業名・目的の事前公表と、目的外利用を禁じる契約締結を条件に、要配慮個人情報であっても同意取得なしでの提供が可能になる。EUのGDPRが「正当な利益」を個別評価し、プロファイリングに厳格な立場を取るのに対し、日本は「極めて寛容」な部類に位置づけられており、比較表では米国カリフォルニア州の2026年施行のADMT規制(事前通知・オプトアウト権・ロジック開示の義務化)とも対照的だと指摘されている。

オプトアウトの限界—東京財団の論考が示す構造的問題

こうした制度設計の妥当性について、東京財団の論考は明確な警鐘を鳴らしている。EUのDSM著作権指令は、機械可読な方法で権利留保を示した場合にテキスト・データマイニングの権利制限から除外する枠組みを持つが、論考はこれを「拒否の意思を可視化する最低限の手段」に過ぎないと位置づける。楽曲は権利者管理サイト以外にも動画投稿や配信、転載を通じて多数の場所に複製されるため、robots.txt等の場所単位の管理では全ての利用を捕捉できない。英国のUK Musicは、この仕組みが個人や小規模権利者へ過大な技術的・事務的負担を転嫁すると批判し、事前許諾を基礎とするライセンスを求めている。Musicians' Unionも同様に、包括的利用を前提とせず明示的同意と公正な対価を重視すべきだと主張している。論考は「オプトアウトが示されていないことを包括的な学習同意とみなすべきではない」と結論づけ、分野ごとの許諾、集中管理、標準化された機械可読表示、利用履歴の監査を組み合わせる必要性を説く。

オプトアウト義務化が招く「逆説」—規制は大企業を利するか

ビジネスジャーナルは英国競争・市場庁(CMA)が1月28日に公表したGoogleへの行動要件案を取り上げ、出版社がコンテンツをAIオーバービューの学習・表示に使わせない権利を保証する一方、この規制が皮肉にも巨大プラットフォームを利する可能性を指摘している。現状、検索流入を守るnosnippetタグを使うと通常の検索流入が約45%減少するとの調査があり、CMAはこれを「出版社にとって現実的な選択肢が存在しない」状態と認定した。データ経済学の観点では、オプトアウトの法制化が「データ利用には対価を払え」という論理を正当化し、年間純利益が2000億ドル規模に達するGoogleのような企業は対価を払えるが、資金力に乏しいAIスタートアップは学習データへのアクセスが事実上困難になるという逆説が生じる。英国の競争法研究者は「規制強化が新興勢力にとって競争上の不利として働くリスクがある」と述べており、日本でも出版社やコンテンツ制作者が対価を交渉するための法的枠組みや集団的交渉主体が未整備な現状が課題として残る。

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最終検証2026.09.11
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