Samsung の系列が半導体と基板に約12.26兆ウォンを投じ、うち約8兆ウォンをベトナムに充てると、韓国の英字紙 Korea Herald が報じた(Korea Herald)。報道によれば、AI の加速器に積む HBM(広帯域メモリ)と先端パッケージングは韓国に残し、汎用メモリの後工程と量産用の基板を国外に移す。工程の付加価値の高さで、国内と国外を分ける形になる。
この記事は報道ベースである。Samsung Electronics や系列会社の発表、韓国の取引所への開示には、今回は届いていない。以下の数字と分業の中身は、どれも Korea Herald の報道によるものとして読んでほしい。
報じられた数字:全体の約3分の2がベトナムへ
報道の数字は2つある。系列全体の投資が約12.26兆ウォン、そのうちベトナム向けが約8兆ウォンである。ベトナムの割合は約65%で、投資の大半が国外に向かうことになる。
差し引きで残る約4.26兆ウォンが、韓国国内に向かうのか、ほかの国に向かうのかは、今回の取材では確かめられなかった。どの系列会社がいくらを出すのか、ベトナムのどの省に置くのか、何年かけて投じるのかも、一次情報で確かめられていない。契約や評価の金額は、報道と実際の開示とで大きく食い違うことがある。正式な開示が出るまで、12.26兆と8兆という数字は報道の値として扱う。
韓国に残すもの:HBM と先端パッケージング
報道によれば、韓国に残るのは HBM と先端パッケージングである。HBM は、DRAM のダイを何層も積んで、加速器のすぐ横に置くメモリである。性能と歩留まりは、ダイを積む工程とパッケージの工程で大きく左右される。前工程の工場と後工程の技術者が近くにいるほうが、不良の原因を突き止めて直すまでが早い。
HBM は、フロンティアラボの訓練と推論の計算資源の量を決める部品の1つでもある。このニュース面で追ってきた、ラボの大きな計算資源の契約やデータセンターの建設は、最終的には加速器と HBM の供給に行き着く。そこを本国に残すのは、利益率の高い工程と、製法の中身を外に出さないという判断だと読める(これは本紙の分析で、報道が Samsung の狙いとして伝えたものではない)。
国外に移すもの:汎用メモリの後工程と量産用の基板
国外に移るのは、汎用メモリの後工程(組み立てと試験)と、量産用の基板だと報じられている。どちらも、製法の差よりも量と費用で競う工程である。人手と工場の面積がものを言い、単価を下げられる場所に置くほうが得になりやすい。
Samsung の系列は、スマートフォンをはじめ、すでにベトナムに大きな生産拠点を持っている。今回の報道が事実なら、その上に半導体の後工程と基板の量産を積み増すことになる。ただし、既存の拠点を広げるのか、新しい工場を建てるのかは、報道からは確かめられていない。
分業の線が示すこと
報道のとおりなら、線の引き方ははっきりしている。AI 向けの最先端の積層とパッケージングは韓国に置き、汎用品の量産工程はベトナムに置く。同じメモリの事業の中で、工程ごとに国を分ける形である。
読みどころは2つある。1つは、HBM の需要がどこまで続くかで、国内に残す工程の重みが変わることである。フロンティアラボの計算資源の調達が細れば、本国に残した高付加価値の工程が真っ先に影響を受ける。もう1つは、汎用メモリの後工程が国外に出たあと、その工程の技術者と供給網が韓国にどれだけ残るかである。どちらも、正式な開示で投資の内訳と時期が分かるまでは判断できない。
まだ分かっていないこと
次の点は、Samsung または系列会社の一次情報で確かめる必要がある。
・投資の主体と内訳:どの系列会社が、どの工程に、いくら出すのか。
・ベトナム向け約8兆ウォンの中身:後工程と基板にどう分けるのか、場所はどこか、いつ稼働するのか。
・残り約4.26兆ウォンの行き先:韓国の HBM と先端パッケージングに充てるのかどうか。
・韓国政府とベトナム政府の支援策や、許認可の状況。
本紙は、Samsung の正式な開示が出た時点で、報道の数字と分業の中身を突き合わせて続報する。




