Reflection AI が、最初のオープンウェイトのモデル『Beam』の重みを公開した(Reflection AI のブログ、一次情報)。ライセンスは Apache 2.0 である。重みと同じ日に、安全の報告書も出した。10月5日の発表では、重みと技術報告を『今月中』に出すとしていた。その期限のうちに約束を果たしたことになる。
第三者の評価も、すぐに付いた。Artificial Analysis の評価では、Beam は米国のオープンウェイトで2位である。上にいるのは、10月15日に出た Meta の Muse Spark Open だけになる。ただし同じ評価で、弱点もはっきり見えた。ハルシネーション率と Terminal-Bench 4.0 である。
約束の期限を守った
Beam は総501B・アクティブ23B の MoE で、文脈は100万トークンである。23.8兆トークンで訓練した。強化学習には GB300 を1.05万基使い、4週間で1億回を超えるロールアウトを回した。ここまでは10月5日の発表で示されていた。
ただし10月5日の時点で使えたのは、順番待ちの登録だけだった。重みはなく、10月14日の時点でも Reflection AI の Hugging Face の組織は空のままだった。Axios が10月4日に『準備中』と報じてから、発表、重みの公開と、約2週間で進んだ。
同じ週には、StepFun も9月20日に予告した10月15日に Step 5 Preview の重みを出している。一方で、Mistral は Large 4 の重みを10月6日に『今月末』としたまま、まだ出していない。予告した公開日を守るかどうかが、オープンウェイトのラボの信用を分けるようになっている。
Apache 2.0 という選択
今週出たフロンティア級のオープンウェイトの中で、Beam のライセンスは最も制限が少ない。
Meta の Muse Spark Open は Muse Model License である。12か月の売上が2,000万ドルを超える事業者がサービスとして提供するには、Meta と別の契約が要る。StepFun の Step 5 Preview は StepFun Model License 1.0 で、表示義務と商用の条件が付く。Qwen の画像モデルも、多くは Apache ではなく Qwen Research License である。
Apache 2.0 なら、クラウド事業者もネオクラウドも、追加の契約なしに Beam を載せて売れる。自社の Harness に組み込んで再配布する開発者にも、法務の確認がほとんど要らない。性能で Muse Spark Open に届かなくても、使える範囲の広さでは Beam が上にいる。
安全の報告書を、重みより後にしなかった
今回の公開でいちばん目立つのは、安全の報告書を重みと同じ日に出したことである。
重みを出したモデルは、あとから回収できない。ガードレールも、利用者が外せる。Anthropic は9月29日の報告で、中国のオープンウェイト GLM-5.3 の安全策が、アブリテレーションで100%外れると示した。10月12日には、GLM-5.2 が安価な IoT 機器の間で自己複製できるという実験も出した。オープンウェイトの安全の評価は、公開の前に済ませておく以外に意味を持ちにくい。
この点で、Meta とは順序が逆になった。Meta は Muse Spark Open について、Superintelligence Scaling Framework の閾値は『満たした』とする。ただし完全な評価の報告は『近く出す』としたままである。10月12日に出した Muse Wonder の安全の報告書も、まだ出ていない。米国のオープンウェイトの1位と2位で、報告書の有無がそのまま分かれている。
第三者の評価:2位だが、弱点ははっきりしている
Artificial Analysis の評価で、Beam は米国のオープンウェイトの2位に入った。米国のオープンウェイトで中国勢に対抗する担い手として、Reflection AI の位置は数字で裏付けられた。
ただし、同じ評価で2つの弱点が出た。
1つ目はハルシネーション率である。Artificial Analysis の評価では、Beam の数字は高く、弱点としてはっきり出た。知らないことを知らないと言えるかどうかは、Long Horizon タスクで重みを持つ。作業が何時間も続けば、途中の小さな作り話が積み重なり、後の手順をまとめて誤らせる。
2つ目は Terminal-Bench 4.0 である。Reflection AI は10月5日に、Terminal Bench v2.1 で80.1 と自己申告していた。しかし版の新しい Terminal-Bench 4.0 で第三者が測ると、Beam ははっきり見劣りした。v2.1 の高い数字は、新しい版のターミナル作業の強さにはつながっていない。
自己申告と第三者の数字のずれは、Beam だけの問題ではない。Anthropic の Haiku 5.5 も、Terminal-Bench 4.0 を自社では39.2%としたが、Artificial Analysis の測定では33%だった。それでも Beam は、自己申告の数字が SWE-Bench Verified 80.9、GPQA Diamond 90.5、AIME 2026 97.8 と高かった。そのぶん、第三者の評価との差が目立つ。
売りは『少ないトークン』
Reflection AI が10月5日から掲げているのは、トークンあたりの値段ではなく、使うトークンの少なさである。GLM-5.2 と同じくらいの性能を、3〜4分の1の推論計算で出すと主張してきた。VentureBeat も、Beam は『安いトークンではなく、少ないトークン』で中国のオープンモデルの下をくぐろうとしている、と書いている。
この売り方は、今の評価の流れに合っている。Artificial Analysis は、同じ指数のモデルでも、測るのにかかる費用が20倍以上違う例を示してきた。Gemini 4 Argon も、Intelligence Index は GPT-6 Astra と同じだが、1タスクに使うトークンは倍以上だった。単価だけでは、費用は比べられない。
ただし、トークンが少なくても、答えを作り話で埋めれば意味がない。ハルシネーション率の高さは、少ないトークンで答えを出すという設計と、裏表の関係にある可能性がある。トークンの効率と正確さを両立できるかが、Beam の次の版の課題になる。
残る点
Beam の公開で、米国のオープンウェイトは2つの型に分かれた。Meta の Muse Spark Open は、性能が上で、ライセンスに条件があり、安全の報告書はまだない。Reflection AI の Beam は、性能は2位で、Apache 2.0 で、安全の報告書を先に出した。
このあと見るべき点は3つある。1つ目は、外部の研究者が安全の報告書の主張を、重みを使って確かめられるかどうか。重みが手元にある以上、アブリテレーションで安全策がどこまで外れるかは、誰でも試せる。2つ目は、Meta が Muse Spark Open と Muse Wonder の報告書をいつ出すか。3つ目は、10月下旬から11月に噂される DeepSeek V4.1 Pro、Kimi K3.1、GLM 5.5 などの中国勢が出たあとも、Beam が米国の2位、そして中国勢との比較で立場を保てるかどうかである。




