MCPとA2Aの役割分担が明確化
Anthropicが2024年に公開したModel Context Protocol(MCP)は、AIエージェントが外部のAPIやデータソース、定義済み関数に接続するための標準化レイヤーとして急速に普及した。IBM Thinkの解説によれば、2025年4月にGoogleが導入したAgent2Agent(A2A)プロトコルはこれと補完関係にあり、MCPが「エージェントとツール」を繋ぐのに対し、A2Aは「エージェントとエージェント」の通信を担う。例えば在庫管理エージェントがMCP経由でデータベースと連携し、在庫不足を検知すると社内の発注エージェントへ通知、発注エージェントがA2A経由で外部サプライヤーのエージェントと交渉するという分業モデルが示されている。A2Aは発見・認証・通信の3段階で構成され、通信にはJSON-RPC 2.0をHTTPS経由で用いる。
2026年MCPロードマップ:非同期化と負荷分散
ITmediaが報じた2026年のMCPロードマップでは、「サーバー機能の発見」「通信の高信頼化」「タスクの非同期実行」の3方向で更新が進む。具体的には、単一サーバーだけでなく複数サーバーへ負荷分散できるStreamable HTTP、公開場所の.well-knownを通じてサーバーの機能情報をAIが自動発見できるMCP Server Cards、そして「呼び出しと結果受け取りを分離」できるTasks機能が追加される。Tasks機能は再実行やタイムアウトを含めたタスクのライフサイクル管理を可能にし、エージェント間の「非同期な協働」を前提にした設計へと転換していることを示す。
Googleが示す6プロトコルの全体像
2026年3月のGoogle Cloud Next基調講演では、キッチンマネージャーエージェントの多段階構築例を通じ、MCP・A2A・UCP(Universal Commerce Protocol)・AP2(Agent Payments Protocol)・A2UI(Agent-to-User Interface Protocol)・AG-UI(Agent-User Interaction Protocol)の6プロトコルが整理された。MCPは在庫データベースやNotionのSOP、Mailgunによる発注メール送信などツール接続を担い、A2Aはエージェント間通信を担う構成で、GoogleのADK(Agent Development Kit)ではMcpToolsetを用いてコードを数行追加するだけでデータベースやサプライヤーとの連携を実装できる例が示されている。
企業のMCP活用事例:X MCPとAWS Bedrock
実装面では2026年7月、Xが独自のMCPサーバー「X MCP」を公開し、GIGAZINEによればClaudeやGrok BuildなどのMCP互換アプリがXアカウント権限で認証するだけで投稿検索やトレンド分析を実行できるようになった。従来は開発者が独自MCPサーバーを構築・ホストする必要があったが、X自身がホストすることで統合コストが下がった。AWSもAmazon Bedrock Agents向けブログで、AWS Cost ExplorerやCloudWatch、Perplexity AIにMCP経由で接続しコスト分析エージェントを構築する例を公開しており、Return Control機能でMCPサーバーをアクショングループとして扱う仕組みを示した。
データ事業参入とセキュリティ対応の加速
エコシステム面では、韓国のビジネスデータ企業KooConが6月15日、MCPベースのデータ事業参入を発表した。金融・公共・物流・通信分野のデータをMCP形式で提供し、7月に約30種、年内に約100種、2027年までに全商品をMCP化する計画を掲げる。同社はLinux Foundation傘下のAgentic AI Foundation(AAIF)に加盟し、Anthropic・OpenAI・Google・Microsoft・Stripeなど約180社が参加するMCPワーキンググループへの参画も予定している。一方でセキュリティ面では、Netskopeが12月1日、MCP通信の可視化とアクセス制御を行う新機能をNetskope Oneプラットフォームに追加すると発表した。最高製品責任者ジョン・マーティン氏は「MCPは従来のツールでは対処できない新たなセキュリティリスクも生み出している」と述べ、サーバー名やURL、バージョン情報のリアルタイム特定、Cloud Confidence Indexによるリスクスコアリング、機密データ保護などの機能を2026年前半に正式提供する予定だ。




