業務代行AIエージェント「御三家」がついに出揃った
2026年8月、Anthropic「Claude Cowork」、OpenAI「ChatGPT Work」、Google「Gemini Spark」という3社の業務向けAIエージェント機能が出揃った。窓の杜の比較記事によれば、いずれも人間が依頼を伝えるとAIが作業手順を考え、ツールやWebブラウザを使いながら複数段階の処理を進め、文書や表などの成果物まで仕上げる点で共通する。3製品ともパソコンを閉じても処理はクラウド側で継続し、決まった時刻に繰り返し実行するスケジュール機能も搭載済みだ。ただし手元のファイルやローカルアプリを操作させる場合のみ、端末側のアプリ起動が必要という制約は共通している。
これまでのAI競争は「どのモデルが賢いか」を競うベンチマーク合戦が中心だったが、質問に答える「チャット」から仕事を任せる「エージェント」への過渡期に入ったことで、比較の物差しそのものが変わりつつある。
強みは三者三様——接続数、ファイル処理、スケジュール設計
ChatGPT Workは最新モデル「GPT-5.6」と同時発表され、最大の強みは接続先の豊富さだ。Slack、Teams、Googleドライブ、SharePoint、メール、カレンダー、CRMなどプラグインは1,400種類を超え、プロンプトで「@」に続けてアプリ名を指定できる。内蔵の「Codex」は週500万人以上が利用し、うち100万人以上がソフトウェア開発以外の用途で使っているという。パブリックベータの「Sites」機能を使えば、成果物をダッシュボードやプロジェクトトラッカーに変換しURLで共有でき、元データの変化に応じて自動更新される。
一方Claude Coworkは、手元のファイル処理を得意とする設計で、紙の領収書の読み取りからExcel集計まで一括して任せられる点が特徴だ。Gemini Sparkは「Gemini 3.5」とタスク実行を組み立てるエージェントハーネス「Google Antigravity」を組み合わせ、Googleのクラウド基盤上で完結するためサーバー構築などの初期設定が不要という。「タスク」「スケジュール」「スキル」の3要素を組み合わせ、例えば「毎週月曜9時に受信箱を確認し優先順位付きToDoを作る」といった定型業務を自動化できる。
料金は月1万4500円〜3万2000円、円安で実質負担増も
Business Insider Japanの2026年8月版料金早見表によると、Claude Max 20xは月200ドル(約3万2000円)、ChatGPT Proの上位プランも月200ドル(約3万円)、Google AI Ultra 20xは月3万2000円と、上位プランはほぼ横並びの水準に収れんしている。中位プランではClaude Max 5xが月100ドル(約1万6000円)、Google AI Ultra 5xが月1万4500円とやや割安だ。多くのサービスがドル建てのため、円安局面では日本円決済のGeminiが相対的に有利になりやすい点も指摘されている。7月時点では価格面での明確な改定はなかったが、各社ともモデル性能を高めつつ動作コストを下げる方向で足並みをそろえている。
基盤モデルも刷新——GPT-5.6のSol・Terra・Luna体制
エージェント機能を支える基盤モデルも同時期に更新された。OpenAIは7月、次世代モデル「GPT-5.6」を「Sol」「Terra」「Luna」の3サブモデル構成で正式公開し、8月6日にはLunaを無料版のデフォルトモデルに設定した。海外メディアの検証記事によれば、有料プランは無料・Go($8)・Plus($20)など7段階のティアに細分化されている。Googleも主力モデル「Gemini 3.6 Flash」を投入し、コーディングはGemini Antigravity経由、Claudeのコーディングは「Claude Code」のデスクトップアプリまたはコマンドラインで、ChatGPTは「Codex」アプリやCLIで行うという棲み分けが定着しつつある。
「乗り換え疲れ」の声——性能差より使い勝手が選定基準に
米メディアHow-To Geekの数か月にわたる比較レビューでは、「コード生成が0.2%良いかを競うより、予算内で自分のやり方に合うツールを選ぶようになった」という利用者の声が紹介されている。同レビューの筆者はAnthropicが推論設定を下げた際にClaude Codeが「仕事をしなくなった」ため、GPT-5.4・GPT-5.5のリリースを機にCodexへ移行したと明かしており、モデル単体の優劣よりも運用中の安定性や接続性が選定の決め手になっている実態がうかがえる。画像生成ではGeminiの「Nano Banana Pro」が高評価を得る一方、Claudeはラスター画像を生成できずSVG生成にとどまるなど、機能ごとの得意分野の差も依然として残る。