10月15日、AI 関連株の売りがアジアの市場に広がった。Korea Herald によれば、韓国の KOSPI は前日より7.57%安く引け、途中でサーキットブレーカーが発動して取引が20分止まった。AI 向けメモリの柱である SK hynix は約11%下げたと伝えられる。東京では、日経平均が約4.77%安で引けたと Investing.com と Japan Times が報じている。台湾の市場への波及は Taiwan News が伝えた。以下の数字はいずれも報道によるもので、取引所の確定値はまだ確かめていない。
この記事の見立ては1つである。韓国のメモリ株は6日続けて少しずつ下げていたが、10月15日にそれが一気の崩れに変わり、AI 株の売りが米国の外へはっきり広がった。
ソウル:20分の停止と、SK hynix の −11%
韓国取引所の規則では、KOSPI が前日から8%以上下げた状態が続くと、サーキットブレーカーが発動して取引が20分止まる。報道どおり発動したのなら、指数は取引中に一時8%を超えて下げ、終わりにかけて少し戻して −7.57% で引けたことになる。KOSPI のサーキットブレーカーは、市場全体が一気に崩れたときにしか使われない仕組みである。
下げの中心は SK hynix だったと伝えられる。SK hynix は、AI のアクセラレータに積む HBM の大手である。米国で AI のインフラへの投資の持続性が疑われると、まず売られる銘柄の1つになる。KOSPI の時価総額のかなりの部分をメモリの2社が占めるので、約 −11% という下げがそのまま指数を押し下げたとみられる。
6日続いたじり安が、なぜ一日で崩れたか
本紙は、韓国のメモリ株が6日続けて下げていることを追ってきた。その間の材料は、どれも一つずつなら決定打ではなかった。中国の CXMT が出したとされる仕様、SK hynix の 4F² の構造をめぐる問い、ASML の『2027〜28年は供給が需要に届かない』という見立てである。ASML の見立ては、言い換えれば、需要が続くことを前提にした話だった。
米国の側では、AI のインフラの資金繰りが続けて問われていた。CoreWeave の社債の利回りが15%を超えたこと、Oracle の大きな建設債務の売れ行き、Gartner が見込む巨額の減損、10月の FOMC での利上げの可能性が残ることである。AI のデータセンターを借金で建てる構図の値段が上がれば、HBM やサーバーの部材の需要の見通しにもすぐ響く。報道は、10月15日のアジアの売りを米国の AI 株の下げの続きとして扱っている。ただし、どの一つの材料がきっかけになったかを、個別の報道ははっきり書いていない。
6日間は、売り手が少しずつ持ち高を減らしていた期間とも読める。7日目に下げが一気に広がり、指数が制度の止めに当たるまで落ちた。これを一日のパニックとしてだけ見ると、それまでの6日の流れを見落とすことになる。
東京:日経平均は約 −4.8%
Investing.com によれば、日経平均は4.77%安で引けた。Japan Times もこの日の大きな下げを伝えている。東京市場は、半導体の製造装置と検査装置、AI への投資の比重が大きい持ち株会社の比重が高いので、米国の AI 株の値動きに強く引っ張られる。韓国ほどではないが、日経平均の一日の下げとしては大きい。
台北と、同じ日の TSMC
Taiwan News も、台湾の市場に売りが広がったことを報じている。この日は TSMC の7〜9月期の決算の日でもあった。本紙が待っていたのは、ASML の『供給が需要に届かない』に TSMC がどう応じるか、2026年の設備投資(600億〜640億ドルの範囲)と2027年の見通しである。市場の側は、決算を待たずに売った形になる。決算の数字が強くても、それで AI への投資が続くと市場が考えるかどうかは別の問題になった。
次に見る数字
まず、韓国のメモリ株が7日目で下げ止まるか、それとも下げが深まるかである。次に、10月下旬に出る Samsung と SK hynix の7〜9月期の決算で、HBM の受注と価格の見通しが変わるか。米国の側では、AI のデータセンター向けの融資と社債の利回り、それに10月27〜28日の FOMC である。
市場が AI のインフラに疑いを持っても、フロンティアのラボはモデルを出し続けている。前の週だけでも、Google の Gemini 4 Argon の一般提供と、Meta の Muse Wonder が出た。それでも、計算資源を誰がどの値段で賄うかという問いは、10月15日にはっきり市場の値段に表れた。メモリから先に崩れたのは、その問いに最初に答えを迫られる業種だからだとみられる。




