半年で評価額倍増、Cursorが20億ドル調達へ
AIコーディングスタートアップのCursor(親会社アニスフィア)が、少なくとも20億ドルの新規資金調達に動いていることが明らかになった。Benzinga Japanの報道によれば、2025年6月に9億ドルを調達し評価額293億ドルを付けたのがわずか6ヶ月前。今回のラウンドが成立すれば評価額はほぼ倍増する見通しだ。スライヴ・キャピタルとアンドリーセン・ホロウィッツが主導し、バッテリー・ベンチャーズが新規投資家として、さらに戦略的投資家としてエヌビディアの参加も見込まれている。条件は未確定だが、Cursorの年間収益は2026年末までに60億ドルを超えると予想され、前年から約3倍に膨らむ計算だ。セールスフォースがCursorの開発環境と直接統合する「ヘッドレス360」を投入するなど、AIネイティブなコーディングツールが従来型ソフトウェア企業を上回る評価を得ている状況が背景にある。
DeepSeekも急加速、評価額5000億元視野に
中国のDeepSeekは第2ラウンドの資金調達を再開した。BigGoファイナンスによると、調達目標額は500億元(約1.2兆円)、取引前評価額は5000億元(約11.7兆円)に達する見込みで、8月下旬の契約完了を目指している。同社は今年4月に初回調達を開始し6月に完了、その際の調達額も500億元、評価額は3500億元(約8.2兆円)だった。わずか数カ月で評価額が4割以上積み増される計算になる。交渉は一時、創業者・梁文鋒氏が投資家向け会議議事録の流出に不満を示したことで中断していたが、現在は関係者が低姿勢での進行を望みつつ再開している。
Moonshot AI、Kimi K3ヒットで500億ドル評価額目指す
中国のMoonshot AI(文ショットAI)も、企業価値最大500億ドル(約74兆円)を目標に大規模調達に乗り出している。亜洲日報によれば、現在の評価額315億ドルを基準とした調達を数日内に完了させ、早ければ6ヶ月以内に香港証券市場への上場も予定する。7月16日発売の最新モデル「Kimi K3」がヒットし、AI性能評価機関アーティフィシャルアナリシスは一部ベンチマークでKimi K3がアンソロピックの「クロードオプス4.8」を上回ったと評価した。WSJの報道では、中国のAI開発スタートアップ少なくとも6社が2027年までに中国本土または香港での上場を準備中とされ、投資銀行サクソマーケットのアナリストは「今年上半期だけでAI供給網関連企業が香港で100億ドル以上を調達した」と指摘する。米国による半導体規制強化への備えとして、海外クラウド事業者とのコンピューティング資源確保契約に多額の資金が必要になっている事情も、調達競争を加速させている。
日本ではRevCommがシリーズBで33.5億円、規模感の違いが際立つ
米中のメガラウンドに対し、日本のAIスタートアップの調達規模は依然として小さい。音声AI企業のRevComm(レブコム)は2026年7月22日の発表で、シリーズBラウンドのファーストクローズとして33.5億円を調達したと明らかにした。SMBC-GBグロース1号投資事業組合をリード投資家に、WiL、KDDI Open Innovation Fund 3号、Salesforce Venturesなどが引受先となり、福岡銀行とスタートアップ・デットファンド2号によるデットファイナンスも組み合わせた。資金調達の公表は2024年7月のプレシリーズBラウンド(15.8億円)以来約2年ぶりで、累計資金調達額は86億円に達した。資金はAIエージェント実装や音声解析AI「MiiTel」の開発強化、海外進出に充てる方針だ。33.5億円という金額は、DeepSeekの1.2兆円やCursorの数千億円規模の調達と比べれば桁が3〜4桁異なり、日本市場のAI資金供給規模の限界を映し出している。
日経データが示すメガラウンド化の全体像
日本経済新聞によれば、2026年1〜3月期の世界のAIスタートアップ資金調達額は2025年通年を上回った。OpenAIの1220億ドル増資だけで同四半期の調達額全体の54%を占め、この増資を除いても調達額は1040億ドルと前四半期比45%増となった。1回の調達額が1億ドルを超える「メガラウンド」が調達額全体に占める比率も上昇している。CursorやDeepSeek、Moonshot AIの動きはこの潮流の象徴であり、評価額が半年から数カ月という短期間で数割から倍近く跳ね上がる事例が相次いでいる点が、従来のスタートアップ資金調達との最大の違いだ。エヌビディアのような戦略的投資家がコーディングツールや基盤モデル企業に直接出資する構図も定着しつつあり、半導体・インフラ企業とAIアプリケーション企業の資本関係が一段と密接になっている。



