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AI・半導体株が日米韓台で急落 ナスダック調整入り、アドバンテスト−14.7%

選挙の後にデータセンターの建設が遅れるという不安で、AI のインフラの株だけが売られた。日経平均は1社で約1,097円押し下げられた一方、TOPIX は上げたと報じられている

山本 浩二|2026.11.06|7分|更新: 2026.11.06

11月5日、米国の選挙の後にデータセンターの建設が遅れるという不安から、日米韓台で AI と半導体の株が大きく売られたと報じられている。ナスダックは日中の値で調整の局面に入った。日経平均はアドバンテスト1社で約1,097円押し下げられたが、TOPIX は上げた。全体の売りではなく、AI のインフラの見直しだった。

Key Points

AI・半導体株が日米韓台で急落 ナスダック調整入り、アドバンテスト−14.7%

11月5日、AI と半導体の株が、日本、米国、韓国、台湾でそろって大きく売られたと報じられている。きっかけは米国の選挙の結果である。選挙の後、データセンターの建設が遅れるのではないかという不安が広がった。米国のハイテク株の多いナスダック総合指数は、日中の値で、直近の高値から10%以上下げた。これを『調整の局面』と呼ぶ。東京では、半導体の検査装置のアドバンテストが14.7%下げ、この1社だけで日経平均を約1,097円押し下げた。ただ、TOPIX(東証の広い銘柄の値動きを表す指数)は上げたと伝えられている。売られたのは株全体ではない。AI のインフラに向けられていた期待が見直された、と読むのが筋に合う。

日本の会社にとって:アドバンテストや東京エレクトロンのような半導体の装置のメーカーと、その部品の取引先は、米国のデータセンターの投資の速さで売上の見通しが変わる。新 NISA や企業年金で日経平均に連動する投資信託を持つ人は、日経平均が一部の AI 銘柄の値動きに大きく振られることを、知っておいたほうがよい。

米国:AI の銘柄が指数を引き下げた

CNN は、ハイテク株の多いナスダックが急落したと伝えた。Al Jazeera も、選挙の後に AI の株が急落し、米国の市場全体を押し下げたと報じている。ナスダックが調整の局面に入ったのは、取引の途中の値(日中の値)でのことである。終わりの値で調整の局面にとどまったかどうかは、ここでは確かめられていない。

売りの理由として伝えられているのは、AI そのものの性能や需要ではない。データセンターを建てる速さである。AI の会社が使う計算資源は、データセンターの建物と、電力の網へのつなぎ込みが揃わないと増えない。選挙の結果で、その許可や電気料金の決め方が変わりうると、市場は見た。

東京:日経平均は下げ、TOPIX は上げた

東京の市場では、ゆがみがはっきり出た。市場の記事サイトの investingLive は『日経平均の225銘柄のうち168が上げたが、AI の銘柄の下げが指数を押し下げ、TOPIX は上げた』という題で伝えている。アドバンテストは14.7%下げ、1社だけで日経平均を約1,097円押し下げたと報じられている。

日経平均は、株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きい仕組みになっている。アドバンテストのような株価の高い AI 関連の株が大きく下げると、ほかの多くの銘柄が上げていても、指数は下がる。一方、TOPIX は東証の広い銘柄を、会社の規模に応じて合わせた指数である。こちらが上げたことは、東京の市場の大半では買いが優っていたことを示す。投資家は、日本株から逃げたのではない。AI のインフラの銘柄から、ほかの銘柄にお金を移した形である。

ソウルと台北:メモリと半導体の国が大きく揺れた

韓国の経済紙ソウル経済は、『データセンターをめぐる“ブルーウェーブ”(民主党の大勝)への不安』で、KOSPI(韓国の代表的な株価指数)が5.28%下げたと報じた。韓国の市場は、AI のデータセンターで使うメモリをつくる会社の比重が大きく、データセンターの投資の見通しにとりわけ敏感である。

台湾の通信社 Focus Taiwan も、11月5日の台湾の株式市場の動きを伝えている。台湾の市場は、AI 向けの半導体を受託でつくる会社の比重が大きい。日本、韓国、台湾は、どれも AI の半導体の供給の網の中にある。米国のデータセンターの建設が遅れるという見方は、この網の全体に一度に響いた。

なぜ選挙でデータセンターなのか

投資情報サイトの Finimize によれば、スイスの金融大手 UBS は、中間選挙の後、データセンターの建設に『一時の減速』が来うるとみている。データセンターは、建てる土地の許可、電力の網へのつなぎ込み、電気料金の決め方で、州や地元の政治と深くかかわる。電気代が上がることへの住民の反発は、この1年で各地の選挙の争点になってきた。

選挙で、規制を強めたい側が議会や州の役所で力を増すと、建設の許可が遅れたり、データセンターに電気代の負担を多く求めたりする動きが出うる。AI の会社と半導体の会社の株価は、データセンターが今の速さで増え続けることを前提に高く評価されてきた。その前提に、少しでも疑いがかかったことになる。

全体の売りではなく、AI のインフラの見直し

この日の動きで大事なのは、売りが AI のインフラにかかわる銘柄に集中していたことである。東京では TOPIX が上げ、日経平均の銘柄の多くも上げた。株式市場全体が景気の悪化を恐れて売られたのではない。AI のデータセンターに向けた投資が、これまで考えていたほど速くは進まないかもしれない、という見直しである。

ただし、ここに書いた数字と理由は、いずれも報道によるものである。会社や取引所の発表で確かめたものではない。売りが一時のものか、見直しが続くのかは、これから出る数字で見えてくる。米国の電力会社の Vistra は11月6日に、AI 向けのクラウドの CoreWeave と、ソフトバンクグループは11月10日に、NVIDIA は11月17日に決算を出す予定である。そこで、データセンターの建設の計画に遅れが出ているかどうかが、会社自身の言葉で語られることになる。

出典

CNN、Al Jazeera、StockTitan、investingLive、News On Japan、ソウル経済、Focus Taiwan、Finimize

風刺画: AI・半導体株が日米韓台で急落 ナスダック調整入り、アドバンテスト−14.7%

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