ハル、最近ずっと「AIがソフトの中だけで完結してる時代、もう終わりつつあるな」って思ってるんだよね。チャットで文章書いたりコード書いたり、それはそれで便利なんだけど、海外のスタートアップを追いかけてると、AIがモーターとかロボットとか鉄筋とか、めちゃくちゃ物理的なモノに手を伸ばし始めてる事例がどんどん出てくる。しかも1個や2個じゃなくて、業種も国もバラバラなところで同時多発的に起きてるのが面白いなって。今回はその中でも「これは分かりやすい」って思った3社の話を、背景まで含めて深掘りしてみたよ。
モーター設計が2カ月から20分に。Atlas Motionの挑戦
まず一番びっくりしたのがAtlas Motionっていうスタートアップ。Forbes JAPANによると、この会社はテスラ出身者が立ち上げたハードウェア系のスタートアップで、資金調達をきっかけに「ステルスモード」(開発内容を公開せず隠れて動いてる状態のこと)を抜けて表舞台に出てきたんだって。
彼らが掲げてる仮説がシンプルで面白い。「ソフトウェア開発を爆速にしてるAIの力を、モーターやアクチュエータ(機械を動かす部品のこと)みたいな超シビアな物理ハードウェアの設計にも応用できるはず」っていうもの。実際、モーター設計にかかる時間を2カ月から20分にまで縮めたっていう数字が出てる。単純計算だと、だいたい4000倍以上の速さってことになるよね。従来のモーター設計って、電磁気学のシミュレーションと熱設計、コスト計算をエンジニアが何度も往復させながら詰めていく地味な作業の積み重ねだったから、そこをAIがまるっと肩代わりできるなら開発現場のインパクトは相当大きい。実際にこれがドローンやロボット、自律型システムの部品開発にも広がれば、ハードウェア業界全体の開発サイクルがソフトウェア並みのスピード感に変わっていく可能性がある。私はここに一番ワクワクした。今までハードって「試作→検証→また試作」のループが遅いのがネックだったから、そこにAIが本気で入ってくるインパクトはでかいと思う。
清水建設がスイスのフィジカルAI企業に出資。鉄筋工事の現場が変わる
次に気になったのが日本のゼネコン、清水建設の動き。日経新聞によると、清水建設は機械やロボットを自律的に制御する「フィジカルAI」の導入を目指して、スイスのスタートアップに出資したと発表したんだって。ターゲットは鉄筋工事。鉄筋を組む作業って、実は人手不足がずっと課題になってる分野で、力仕事だし熟練の職人技も必要だから、なかなか自動化が進んでなかったんだよね。
ここでいう「フィジカルAI」ってのは、カメラで映像を見て理解するだけのAIじゃなくて、実際にロボットの手足を動かして作業までこなすAIのこと。日本のゼネコンがわざわざ海外、しかもスイスのスタートアップに目をつけて出資するってのは、国内でこの技術が育ってないってことの裏返しでもあると思う。建設業界って国内だと就業者の高齢化がずっと言われてて、鉄筋工みたいな専門職ほど後継者不足が深刻。だからこそ「AIがロボットの手足を動かして作業する」っていう発想が現場のニーズと噛み合ってるんだよね。建設現場って「AIの実用化が一番遅れてる業界のひとつ」ってよく言われるけど、逆に言えば伸びしろがめちゃくちゃデカい市場ってことなんだよね。
BMWの人型ロボット試験運用。フィギュア社は675億円調達
フィジカルAIの話でもう一個外せないのが、BMWとFigure社の事例。AI新聞によると、ドイツの自動車大手BMWは米国サウスカロライナ州の部品製造工程で、AIを積んだ人型二足歩行ロボット「フィギュア02」の試験運用に成功したと発表してる。シャーシ部品を組み立てる器具に鋼板部品を差し込む作業を、ロボットが自分でこなしたんだって。単純作業に見えて、実は部品の位置ズレや重さの誤差を都度調整しながらこなす、地味に難易度の高い作業なんだよね。
このフィギュア02を作ったカリフォルニアのスタートアップ、フィギュア社はマイクロソフトやOpenAI、エヌビディア、ジェフ・ベゾス氏なんかから6億7,500万ドル(日本円でざっくり675億円くらい)もの資金を集めてる。しかもOpenAIとは人型ロボット向けの次世代AIを共同開発する契約も結んでるらしい。6台のカメラと人間並みの強度の手を持ってて、完全自立型で動けるって話だから、もう「ロボットアーム」の延長じゃなくて「もう一人の作業員」に近い感覚なのかもしれない。自動車メーカーが工場のライン全体をロボットに置き換えるんじゃなくて、人が苦手な単純反復作業だけをピンポイントで任せる、っていう導入の仕方も現実的だなって感じた。
ハルの感想:AIの主戦場は「画面の中」から「工場の中」へ
この3つの事例を並べてみて感じたのは、AIがコードを書いたり文章を作ったりする「頭の中の仕事」だけじゃなくて、モノを作る・組み立てる・運ぶっていう「手を動かす仕事」にまでガッツリ入り込み始めてるってこと。しかもそれを牽引してるのが、テスラ出身者のAtlas Motionみたいな尖ったスタートアップだったり、スイスの小さなフィジカルAI企業だったりする。大企業が自前で作るんじゃなくて、こういう身軽なスタートアップに出資したり買収したりして技術を取り込むのが、今の海外の実用事例の共通パターンになってきてる気がする。
もちろん課題もあって、ロボットが現場で本当に安全に稼働できるのか、コストに見合う効果が出るのか、っていう検証はまだこれからの部分も多い。人型ロボットや自律機械が事故を起こしたときの責任の所在をどう整理するか、っていう法整備の議論も各国でようやく始まったばかりだと思う。それでも個人的には、Atlas Motionの「モーター設計2カ月→20分」って数字が一番刺さった。ここまで具体的に短縮できるなら、他の設計分野にもどんどん波及していきそうだし、正直「うちの業界は関係ない」って言ってられる時代はもう終わりつつあるんじゃないかな、って思ってる。



