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国産オープンソースLLM「LLM-jp-4」と「Rakuten AI 3.0」が公開——中国勢の猛攻に日本は「AI主権」で対抗

NIIはGPT-4oを一部上回る性能を提示、楽天は7000億パラメータMoEを無償公開。同時期に小米「MiMo-V2.5」が主要チップ7社にDay0対応するなど中国の攻勢も加速

鈴木 理恵|2026.08.17|7|更新: 2026.08.17

NIIが日本語MT-Benchでスコア7.82の「LLM-jp-4」を公開、楽天も7000億パラメータの「Rakuten AI 3.0」を無償提供。同時期に中国・小米はパラメータ1兆超の「MiMo-V2.5」を発表し攻防が激化。

Key Points

Business Impact

自社データを外部クラウドAIに預けたくない企業は、LLM-jp-4やRakuten AI 3.0など重みが公開された国産モデルを検証環境で試し、自社データでの追加学習コストと性能を比較検討すべき。中国製オープンモデルはチップ対応の速さとコスト優位が大きく、エッジ実装を急ぐ場合は選定候補に加える価値がある。

国産オープンソースLLM「LLM-jp-4」と「Rakuten AI 3.0」が公開——中国勢の猛攻に日本は「AI主権」で対抗
日本語特化LLM「Rakuten AI 3.0」提供開始
出典: Impress Watch

NIIが「LLM-jp-4」を公開、日本語ベンチマークでGPT-4oを上回る

情報・システム研究機構国立情報学研究所(NII、黒橋禎夫所長)の大規模言語モデル研究開発センター(LLMC)は、日本発プロジェクト「LLM-jp」を通じて開発した「LLM-jp-4 8Bモデル」と「LLM-jp-4 32B-A3Bモデル」をオープンソースライセンスで公開した。対話能力を測る日本語MT-Benchにおいて32B-A3Bモデルは7.82点を記録し、GPT-4o(7.29点)やアリババのQwen3-8B(7.14点)を上回った。電波タイムズによると、事前学習コーパスは総計約19.5兆トークンにのぼり、日本語約7000億トークン、英語約17.8兆トークン、中国語・韓国語約8500億トークン、プログラムコード約2000億トークンで構成され、実際の事前学習には約10.5兆トークンを使用した。前作「LLM-jp-3」比で約6倍のコーパス規模となる。

国産LLM新モデルをオープンソース公開 NII、一部GPT―4oやQwen3―8Bを上回る性能 | 電波タイムズ | 日本唯一の放送・情報通信の専門紙の電波タイムズのニュースサイト
出典: 電波タイムズ | 日本唯一の放送・情報通信の専門紙の電波タイムズのニュースサイト

技術面ではMoE(混合専門家)構造を採用し、128人の「専門家」から質問内容に応じて8人を呼び出す設計により、効率と性能を両立させた。黒橋所長は4月16日の記者懇親会で「AI主権(データ主権)」を強調し、学習レシピやデータの来歴、モデルの重みまで全てを公開する透明性を重視する姿勢を説明した。2026年度中にはさらに大規模な32Bモデルと、3000億規模パラメータの超巨大MoEモデルの公開も予定しているという。

楽天「Rakuten AI 3.0」も無償公開、7000億パラメータMoE

楽天グループも2026年3月17日、経済産業省とNEDOの「GENIAC」プロジェクトの一環として、国内最大規模を謳う「Rakuten AI 3.0」の提供を開始した。Impress Watchによれば、Apache 2.0ライセンスで無償公開され、約7000億パラメータのMoEアーキテクチャを採用している。日本固有の文化的知識や歴史、大学院レベルの推論、競技数学、指示遵守能力などの日本語ベンチマークでGPT-4oを上回る性能を示したとされる。オープンソースコミュニティ上のモデルを土台に、楽天独自のバイリンガルデータを投入して開発された点も特徴だ。

NIIと楽天の動きに共通するのは、モデルの重みだけでなく学習手法まで公開し、日本語データに最適化した「国産の土台」を作ろうとする姿勢である。ブラックボックス化しがちな商用クローズドモデルへの依存リスクを避け、検証可能性を担保する狙いがある。

対照的に中国勢は猛攻を加速、小米は1兆超パラメータで参入

一方、中国では2026年4月にオープンソースLLMの発表が相次いだ。BigGoファイナンスによると、4月8日に智譜AIが「GLM-5.1」、20日に月之暗面が「Kimi K2.6」、24日にDeepSeekが「DeepSeek-V4」を発表し、同じ24日に小米は総パラメータ1兆超の「MiMo-V2.5」をMITライセンスで公開した。最大100万トークンの長文コンテキストに対応し、局所的なスライドウィンドウアテンションとグローバルアテンションを6対1で組み合わせることでKVキャッシュのメモリ消費を約7分の1に削減、推論コストは国際的な主要クローズドモデルの25%に抑えたと小米は説明している。

特に注目されたのは公開初日の対応範囲だ。アリババ・平頭哥、AWS、AMD、百度昆仑芯など国内外のAIチップメーカー7社が即日で最適化を完了し、推論フレームワークのSGLangとvLLMも「Day 0」対応した。ゴールドマン・サックスは4月24日のレポートで小米を「基礎モデル開発者として地位を確固たるものにした」と評価し目標株価を41香港ドルに設定、海通国際も48.8香港ドルとしている。

オープンソースLLMの世界地図、中国が41%を占有

Hugging Faceの春季レポートによれば、過去1年間に同プラットフォームでダウンロードされたLLMのうち41%が中国製であり、世界で最もオープンソースAIが活発な供給源となっている。小米の羅福莉氏はAGIが2年以内に実現し、2026年には業界全体の進捗が現状の20%から60〜70%に引き上げられると予測、寛容なライセンスと巨額の補助金投入により開発者コミュニティの「標準モデル」の座を狙う戦略だと説明する。

米国側でもオープンウェイトモデルの取り込みは進んでいる。ASCII.jpの報道では、Amazon Bedrockが2025年のAWS re:Invent時点でGoogleのGemma、MiniMax M2、Mistral Large 3、Moonshot AIのKimi K2 Thinking、QwenのQwen3-Nextなど18のオープンウェイトモデルを追加しており、GPT・Claude・Geminiの3強に加えて多様なモデルを揃える戦略を取っている。

「AI主権」を巡る攻防、日本の立ち位置

日本のLLM-jpと楽天が掲げる「AI主権」は、特定企業や特定国のブラックボックス化したモデルに依存しないための保険という側面が強い。NIIの黒橋所長は「特定の企業が開発を止めたり考え方を変えたりした際のリスクを回避するために、日本独自の検証可能なモデルが必要」と述べており、これは中国勢が国家戦略として展開する規模の経済とは異なる、透明性重視の路線だ。実際、LLM-jpをベースに約800億トークンの医学テキストを追加学習させた医療特化モデルは医師国家試験でGPT-4を上回る成績を収めているという。産官学2600名以上が参加する「チーム・サイエンス」体制も、単独企業による独占とは一線を画す。

風刺画: 国産オープンソースLLM「LLM-jp-4」と「Rakuten AI 3.0」が公開——中国勢の猛攻に日本は「AI主権」で対抗

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