10月30日、AI と半導体の株が大きく売られた。きっかけは Intel が前日の引け後に出した10〜12月期の見通しである。Intel は、イスラエルにある工場 Fab 28 の爆発を理由に挙げ、市場の予想を大きく下回る数字を示した。Intel の株価は約3割下がり、1974年以来で最悪の1日の下げと報じられている。下げは Intel だけでは終わらなかった。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は−7.2%で、半導体株の時価総額は約1兆ドル減ったと伝えられる。ナスダック総合指数も−3.6%だった。決算が予想を上回ったメモリの会社まで売られた。AI の需要が強いことだけでは、もう株価を支えきれなくなっている。
Intel が示した見通し——工場の事故が数字を押し下げた
Intel は7〜9月期の決算の発表を、SEC に提出した書類として出している(一次情報)。この中で、10〜12月期の見通しに Fab 28 の爆発の影響を織り込んだ。見通しの数字は、市場の予想を大きく下回った。
今回の見通しの弱さは、AI の需要が細ったことを示すものではない。工場の事故で、作れる量そのものが減ったことによる。それでも市場は、この下方修正を Intel 1社の事情として片付けなかった。生産の現場にこれほど大きな傷が出たことで、AI 向けの供給網がどこまで脆いのかに目が向いた。
市場の反応——SOX は−7.2%、時価総額は約1兆ドル減ったとされる
報道によれば、Intel の株価は約3割下がり、1974年以来で最悪の下げになった(CNBC)。売りは半導体の業種全体に広がった。Benzinga は、NVIDIA、AMD、TSMC、Broadcom を含む半導体株の時価総額が約1兆ドル減ったと伝えている(Benzinga)。SOX は−7.2%だった。
ハイテク株の多いナスダックも−3.6%下げた(NBC News)。NBC は、AI ブームへの不安が深まったと伝えている。CNBC の記事は、同じ日に出た Amazon の決算とあわせて、大手 IT 企業の AI への支出についての懸念を取り上げている。なお、約1兆ドルという時価総額の減少は報道の集計で、どの銘柄をどう足し合わせたかによって変わりうる。
予想を上回ったメモリ株まで売られた
この日の売りでいちばん目を引くのは、決算が予想を上回ったメモリの会社まで売られたことである。HBM などの AI 向けのメモリは、今年の AI 相場を引っ張ってきた分野だ。良い決算が出れば買われる、という流れがここまでは続いていた。
その流れが、この日は通じなかった。業績が良くても、業種全体への不安が勝った。投資家が見ているのは、もう AI の需要があるかどうかではない。高い期待をすでに織り込んだ株価が、供給網の事故や設備投資の行方といったリスクに耐えられるかどうかである。AI の需要の強さは、株価を下から支える材料として十分ではなくなった。
次に見るもの
今回の下げが一時のものか、相場の向きが変わったのかは、これからの決算で試される。外部の GPU の容量を売る CoreWeave(11月9日)と Nebius(11月10日)の決算は、AI の設備投資の波がどこまで続くかを測る材料になる。11月10日ごろに出るとみられる Anthropic の S-1/A の価格の幅も、AI 関連の株への市場の熱がどこまで残っているかを映すことになる。
Intel については、Fab 28 の復旧にどれくらいかかり、10〜12月期の後の供給にどこまで響くかが焦点になる。良い決算でも株が支えられなかったという事実は、次の決算の季節でも重くのしかかる。




