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米国国立公園でオフロード車規制撤廃、年間3億2300万人の来園者管理に新課題

トランプ政権下で公有地利用制限緩和、職員25%削減と予算8億ドル減額も同時進行

環 詠子|2026.06.04|8|更新: 2026.06.04

米国でトランプ大統領が20年間続いた国立公園でのオフロード車規制を撤廃し、年間3億2300万人が訪れる国立公園システムの混雑管理に新たな課題が浮上。同時に国立公園局の職員25%削減と運営予算の8億ドル削減が進行中で、施設管理と群衆制御能力の低下が懸念される。

Key Points

Business Impact

オフロード車規制緩和により混雑が加速する国立公園では、静寂な自然体験を求める読者は平日や冬季の利用、または州立公園や国有林への分散が必要になる。

brown wooden blocks on white surface
'This is a hijacking': UFC White House fight and race cars take over National Park Service land
出典: Los Angeles Times

オフロード車規制撤廃で国立公園の利用環境が激変

トランプ大統領は5月29日、20年間にわたって継続されてきた公有地でのオフロード車使用規制を撤廃する大統領令に署名した。この措置により、これまでほぼ全ての国立公園で禁止されていたオフロード車両の利用制限が解除される可能性が高まっている。ニューヨーク・タイムズの報道によると、この政策変更は環境保護と公園利用のバランスを根本的に変える可能性がある。

What Iceland and Puerto Rico Reveal About Class Divide in Overtourism
出典: Skift

米国の国立公園システムは2025年に3億2300万人の来園者を記録しており、これはプロフットボール、野球、バスケットボール、ホッケーの4大スポーツ観戦者数合計1億3500万人の2.4倍に相当する規模となっている。この膨大な来園者数に加えて、新たにオフロード車両の利用が可能になることで、公園内の混雑と環境への影響が大幅に増加することが予想される。

予算・人員削減で管理体制が大幅縮小

オフロード車規制緩和と並行して、トランプ政権は国立公園局に対する大規模な予算・人員削減を実施している。2025年以来、国立公園局の職員は早期退職制度と解雇により25%削減され、今年はさらに25%の追加削減が提案されている。運営予算についても、約30億ドルの総予算から8億ドル近くの削減が検討されており、施設の清掃管理と群衆制御能力の著しい低下が懸念される。

この予算・人員削減の影響は既に現れており、ヨセミテ国立公園では今年から予約システムを廃止した結果、バレー部分と周辺トレイルに enormous crowds(膨大な群衆)が発生している状況だ。職員数の減少により、来園者の安全管理や環境保護活動に支障が生じる可能性が高い。

タホ湖エメラルドベイの事例に見るオーバーツーリズム深刻化

国立公園以外でも、人気観光地でのオーバーツーリズム問題が深刻化している実例として、タホ湖のエメラルドベイ周辺の状況が挙げられる。サンフランシスコ・クロニクルの調査によると、2025年にはコンクリート製バリケード、ボラード、駐車禁止標識の設置により50台分の危険な駐車スペースを撤去したにも関わらず、問題は解決していない。

エルドラド郡が委託した2025年シャトルプログラムの技術評価では、7月から9月の間に867台の違法駐車を防ぐことができたが、皮肉にも駐車禁止区域の設定により来園者はより遠方に駐車して道路沿いを歩くようになった。2025年8月の土曜日にエメラルドベイ近くのハイウェイ路肩で確認された違法駐車車両は1,178台で、2017年の同様の調査時の1,053台を上回っている。

観光制限の経済格差とアクセス公平性の課題

オーバーツーリズム対策の実施には経済格差による制約が存在することが、最近の分析で明らかになっている。Skiftの報告によると、一人当たりGDPが85,000ドルを超えるアイスランドは漁業とアルミニウム製錬業があるため観光プロモーション削減が可能だが、観光業に大きく依存する地域では同様の措置を取ることができない経済的現実がある。

持続可能な観光に関する従来の処方箋(プロモーション削減、地理的分散、短期賃貸規制、量から収益性への転換)は、基本的に富裕な目的地向けに設計されている。現在の戦略は、住宅価格上昇や文化的損失といった観光業の負担を、それを負担する能力が最も低い住民に転嫁する一方で、経済的利益の多くは他の場所に流出する構造的問題を抱えている。

国境管理政策変更による国際観光への波及効果

国立公園の管理体制変更と並行して、連邦政府の入国管理政策変更も観光産業に大きな影響を与える可能性がある。米国旅行協会は、ニューアーク空港から入国管理官を撤退させる計画について、年間80億ドルの経済損失と観光客の米国離れを招く可能性があると警告している。同空港では年間500万人の米国人帰国者を処理しており、FIFA ワールドカップを数週間後に控えたタイミングでの政策変更は、米国の観光地としての評判に重大かつ持続的な損害を与える恐れがある。

全米ビジネス旅行協会(GBTA)の最新データによると、米国への国際ビジネス旅行支出は年間507億ドルに達し、全国の雇用、投資、経済成長を支えている。入国地点での運営中断は遅延、不確実性、混雑を生じさせ、人と物資のシームレスな移動に依存するビジネス活動、国際商取引、サプライチェーン全体に連鎖的な影響を及ぼす可能性がある。

地方レベルでの観光規制強化と住宅政策の連動

連邦レベルでの規制緩和とは対照的に、地方自治体では観光制限を強化する動きが続いている。ハワイ公共ラジオの報告によると、マウイ郡では7,000件の短期バケーションレンタルを段階的に廃止する歴史的な法律を2025年12月に可決し、現在は新たなホテル地区ゾーニングの枠組みを検討している。

マウイ郡のリチャード・ビッセン市長は、この法案が「Bill 9を取り消したり、アパートゾーニングにおけるトランジットバケーションレンタル段階的廃止に関する議会の政策方向を覆すものではない」と明言し、代わりに「コミュニティ計画委員会と議会が、特定の物件がホテル地区分類に適しているかどうかを将来的に検討するための透明なプロセスを創設する」と説明している。この取り組みは地域住民向け住宅を優先しつつ、従来から宿泊施設として機能してきた物件に対する明確なゾーニング枠組みを確立することを目的としている。

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