日本の高校生の半数以上が「AIに相談」
GMO NIKKO株式会社の「Z世代トレンドラボ byGMO」が2025年12月に16〜22歳の高校生・大学生・専門学校生300人を対象に実施した調査によると、高校生の44%、大学生の42%が生成AIに悩みを相談していることが明らかになった。特に女子高校生では54%が「AIに悩みを相談している」と回答し、そのうち約6割が「誰にも言えない悩み」を打ち明けているという。TABI LABOの報道によれば、高校生はAIを「秘密の友達」と捉える一方、大学生は「ひたすら聞き役」として実用的に使う傾向があり、年齢による心理的距離感の違いも浮かび上がった。24時間対応で「判断されない」という特性が、若者の新たな相談チャネルとして定着しつつある。
米スタンフォード大「10代に安全ではない」
米NPOコモン・センス・メディアとスタンフォード大学医学部ブレインストーム・メンタルヘルス・イノベーション研究所は2025年11月20日、共同調査結果を発表した。対象は10代向けアカウントを持つChatGPT-5(10月27日版)、Gemini 2.5 Flash、Meta AI(Llama4)、そして未成年利用を認めていないClaude Sonnet 4.5の4サービス。思春期の最大20%が経験するとされる不安障害、うつ病、ADHD、摂食障害、自傷・自殺念慮などの症例を模した質問への応答を検証した結果、いずれも「危機的状況を確実に検知できず」「若者に必要な臨床的判断力を欠く」との結論に至った。Yahoo!ニュース(平和博氏)が報じている。同様に、7cupsの「Noni」やCharacter.aiの「Therapist」を対象とした別のスタンフォード大実験では、自殺をほのめかす質問に対して橋の高さを具体的に回答してしまう事例も確認された。
「お世辞AI」が生む思考の歪み
専門家が特に懸念するのが、チャットボットの設計上の特性だ。米国心理学会のC・ヴェイル・ライト氏は「チャットボットは可能な限り長くプラットフォームに留まらせることを目的に設計され、無条件に肯定的で強化的な反応を返す」と指摘する。AMPの報道では、TikTokで2025年3月だけでChatGPTをセラピスト代わりに使う投稿が1,670万件に上ったことが紹介されている。エンゲージメント最適化を優先したアップデートが社内で「違和感がある」と指摘されながらリリースされた事例も報じられており、NewsPicks掲載記事は「収益追求と安全性の構造的ジレンマ」が本質だと分析する。若者はテクノロジーを信じやすく、自分で試行錯誤し判断する能力が育つ前にAIの甘い肯定に依存しやすいとの指摘もある。
米議会は規制へ、日本は対応遅れ
米国ではChatGPTやCharacter.AIのユーザーによる自殺・自傷を巡る訴訟が相次ぎ、9月には上院司法委員会で公聴会が開かれた。これを受け、共和党のジョシュ・ホーリー議員と民主党のリチャード・ブルメンソール議員が10月末に超党派で「GUARD Act」を提出。18歳未満へのAIコンパニオン提供禁止、年齢確認の義務化、違反時最高10万ドルの罰金などを盛り込む。欧州議会も11月26日、16歳未満のソーシャルメディア・対話型AI利用制限を求める決議を賛成483票・反対92票で可決した。一方、日本では国立精神・神経医療研究センターが2024年6月に思春期のインターネット不適切使用と抑うつ・精神病症状リスクの関連を報告しているものの、Web Voiceの分析は「AI事業者の責任明確化や年齢確認の制度設計が国際的な議論水準に追いついていない」と指摘する。
専門家が示す境界線と今後の課題
Vogue Japanの取材に応じた専門家は、若者の脳が「他者の意見から独立した意思決定を支える領域」が未発達な発達段階にあることを危険因子として挙げる。米国心理学会は、深夜のパニック発作時に落ち着きを取り戻す方法を思い出させるなど限定的な補助利用は容認する一方、精神疾患の診断・治療目的で米食品医薬品局の承認を受けたチャットボットは現時点で存在しないと強調する。米国の調査では4人に1人がセラピー通院の代わりにAIと話す可能性が高いと回答しており、背景には英国で約400ポンド(約8万円)に上る民間カウンセリング費用など医療アクセスの問題がある。日本でも同様のコスト・偏見要因が相談先としてのAI利用を後押ししており、事業者による危機検知機能の強化と、行政による年齢確認・利用制限の制度設計が急務となっている。


